伸び上がるボールが本物の証しだ。日本ハムドラフト1位の吉田輝星投手(18=金足農)が18日、千葉・鎌ケ谷での新人合同自主トレで初めてブルペン入りした。

立った捕手を相手にカーブを3球交えた23球。強靱(きょうじん)な下半身を土台とし、ベース板まで失速しない直球を披露した。吉田輝星の直球は、リリースから終点までプロの平均値より9センチも落ちず、伸びていく。甲子園を沸かせた代名詞で堂々と歩を進める。

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吉田輝星には9センチのすごみが備わっている。速球の「伸び」はデータでも証明されている。野球データ教育サイトの「ベースボールギークス」(http://www.baseballgeeks.jp)によると、吉田輝星のボールのホップ成分は、プロ投手の中でも群を抜いている。

ボール変化量(重力の影響のみを受けてボールが到達した地点を原点とした時、回転数と回転軸による揚力の影響を受けてボールがどれだけ変化したか)を測定すると、縦変化は53センチを示す。プロ平均は44センチで、吉田輝星は9センチも上回る。硬式球の直径は約7センチで、ボール1個以上も違う。実際にボールが浮き上がるわけではないが、ホップするような印象を与える。

さらに、ほとんどの投手の直球はシュート回転がかかるが、吉田輝星の横変化は10センチ。プロ平均の26センチよりもシュート成分が少ない。つまり、見慣れている球よりも、より真上にボールが伸び上がるような軌道でプロの打者に襲いかかることになる。

回転数自体は2125rpm(1分間に回転する数)と、同世代の根尾の2242rpmより少ない。だが手首をより立てて投げることで、回転軸が純粋なバックスピンに近くなり、球を浮き上げる揚力が発生しやすいという。

データは金足農2年時の11月に測定されたもの。昨夏の覚醒を経て、類いまれなる速球の球質は、さらなる進化を遂げている可能性もある。

◆日本ハム柴田ブルペン捕手(吉田輝の投球を受け)「しっかり指にかかっていた。縦回転で軸がしっかりしている。きれいな真っすぐ。球速は、だいたい130キロ後半くらいですかね? カーブは縦のいいカーブだった」