「どすコバ」で先陣を切る。侍ジャパン山口俊投手(32)が、31日のカナダとの強化試合(沖縄)へ、試合前日としては異例の73球の熱投を見せた。巨人でもコンビを組む小林を相手に通常のルーティンではない登板前日にブルペン入りした。開幕戦先発が有力な「プレミア12」の11月5日のオープニングラウンド、ベネズエラ戦に向け、どすこい右腕が世界のコバヤシとのバッテリーで発進する。

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熱気に包まれた「稽古場」で山口が熱投した。白球を手に繰り出した右腕で「てっぽう」のようにミットをたたいた。4球目を投じたところで、小林が球を受けて「ぶつかり稽古」が開始。カナダ戦へ異例の73球。独特の最終調整に驚きながらも、大きくうなずいていた稲葉監督の前で、大粒の汗をしたたらせた。

山口 (ブルペンは)そんなに悪い感覚はなかった。明日のゲームの中で、もう少し力が入った時にどうなるか。しっかり、いい感じで、いいスタートが切れるように頑張ります。

力強く初陣を飾る。2イニングの予定で、指揮官からは「しっかり自分の投球をしてくれたら」と背中を押してもらい「だいぶ楽になりました」。12年の親善試合キューバ戦で日の丸を背負い、外国人打者に苦手が多いとされるフォークボールで威力を証明した。「感覚は悪くなかった。(試合では)力感が上がってくるので、そこで試せたら」と余念はない。

「世界のコバヤシ」と強力タッグを組むことが有力だ。巨人での女房役は、正捕手で出場した17年WBCで打率4割5分と大活躍。世界を知る相方との「どすコバ」で、相乗効果アップの期待もある。小林は「ボールに関しては心配ない。本戦へ、コミュニケーションが取れるようにしたい」と絆の強化を図る。

「プレミア場所初日」、11月5日ベネズエラ戦での先発最有力候補。山口は「もう1つ、2つレベルアップしたほうがいい」と鼻息を荒くした。どすこい右腕が、世界の猛者を突っぱねていく。【田中彩友美】