<オープン戦:中日2-0楽天>◇9日◇ナゴヤドーム

 川上、開幕OK!

 中日川上憲伸投手(32)が9日、楽天とのオープン戦で4回1安打無失点と好投した。OB杉下茂氏直伝の「神様フォーク」で2三振を奪い、横の変化中心の投球に縦のウイニングショットを加えた新しい投球スタイルを確立。オープン戦通算で6イニング自責0とし、有力視される4年連続開幕投手の座に大きく前進した。

 リニューアルした魔球が、威力を発揮した。川上は4回2死一塁で4番山崎武を迎えた。カウント2-2から133キロのフォークでファウル。さらに131キロフォークを続け、昨季パ・リーグ2冠王を空振り三振に仕留めた。この回先頭の鉄平からも131キロフォークで三振を奪っており、魔球で2三振を記録した。

 「山崎さんの時はフォークで三振をとりたいと思って投げた。あんな投げ方をできればいい」

 沖縄キャンプで杉下氏に伝授された「神様フォーク」の完成型だった。特に手応えをつかんだのはその軌道だ。真下に落ちるよりもシンカー気味に変化して左打者の外角に逃げる。川上は持ち球カットボールを投げる際に、シュートの腕の振りで最後にボールを内側にはじく。いかに同じ腕の振りでフォークを投げられるかが課題だった。「スライダー気味に巻き込むよりも(左打者の)外に逃げていったほうがいい。僕は基本的に腕の振りは内から外なので」。シンカーぎみに落ちるのは、カットボールと同じ腕の振りができているからだという。

 試合を観戦した巨人上野スコアラーは「対左の場合、川上選手は内側に曲がる変化球が多かった。外に逃げるフォークは警戒したい」と話した。

 フォークに手応えもつかみ、開幕へ準備は万端だ。この日は最速144キロの直球と変化球で楽天を4回1安打無失点。「腕を振ること、躍動感や気持ちを意識した。悪くなかったのかなと思う」。これで4日西武戦とあわせ6回を自責点0。あと2度オープン戦に登板予定。最有力とみられる開幕投手については「監督やコーチが決めること。僕は言われたところで投げるだけです」と冷静だったが、早くも存在感を際立たせた。【益田一弘】