ヤクルト佐藤由規投手(18=仙台育英)の開幕1軍に、「新神宮の試練」が立ちはだかる。改装された同球場は「マウンドが高い」「土が軟らかく掘れる」などの課題が見つかった上、球速のスピード表示が遅く出るのでは、との声が浮上した。最速157キロ右腕にとって、球速はその日の調子を計るバロメーターでもあるだけに、思わぬ難題に直面した。13日のソフトバンク戦(神宮)は1軍生き残りがかかる登板。由規は試練に勝つことができるか。

 新たなハードルも乗り越えなければ、1軍生き残りはない。改装された神宮が9日にお披露目されたが、投手陣から「スピード(表示)が出なくなった。7、8キロは遅い」という声が多数飛び出した。本拠地の球速表示が抑え気味と聞いた由規も「あまり気にしないようにします」と、スコアボードの球速の“チラ見”は極力避けたいと話した。

 速球派投手の中には、スピードをその日の調子を計る物差しにしている選手も少なくない。「いい感じで投げられたときは、つい(スコアボードの球速)表示をチラっと見てしまいますね」と、由規もその中の1人だ。しっかりと投げきったと思った直球が、思わぬ遅い球速を表示した場合、調子が良くないと判断してしまう恐れもある。それだけに、球速には完全無視を決め込み、相手打線を封じることだけに集中する。

 改装直後のマウンドは「軟らかい」「高い」「プレートが滑る」などの声も多く、まだまだ改良の余地が多い。前回6日の日本ハム戦で2回8安打5失点で、次回登板が1軍生き残りへ「最終テスト」となる由規は、この日の練習でマウンドに初めて上がったが「試合で投げてみないと分からない」。先入観を捨てて臨む考えも強調した。

 練習前に行われた明治神宮での必勝祈願後、絵馬には「開幕一軍」と記した。開幕ローテ最後の1枠の候補へ踏みとどまるためにも、ソフトバンク戦は乗り越えなければならない正念場だ。変化球の制球やセットポジション、疲労回復など、山積みの難題に加えて、さらに降りかかった「球速表示」の壁。キレのあるボールで相手打線を封じることで、開幕1軍を実現させるつもりだ。【松本俊】