守った!

 走った!

 広島の緒方孝市外野手が12日、紅白戦で「5番左翼」で先発。今年初めて実戦で守備についた。1軍で守備につくのは昨年6月5日の日本ハム戦以来。2度の守備機会を無難にこなし、攻撃でも1安打2盗塁と存在感をみせつけた。目指すはもちろん「開幕スタメン」。激戦の外野争いに22年目のベテランが参戦する。

 待ちに待った瞬間だった。昨年7月に右ひじを手術。その後、2軍戦では守備についたことはあるが、1軍の実戦で守るのは281日ぶり。守備機会は2度だけだったが、梵の左前打では遊撃山崎にきちんと返球し、中東の左飛はなんなく処理した。イニング間にはキャッチボールを行い、ひじを冷やさないため細心の注意を払った。「まだ安心はできない。1日1日気が抜けない。早く不安のない状態にもっていけるようになりたい」。表情からは安堵(あんど)感が伺えた。

 ひじの手術後、リハビリに励んできた。キャンプでも徐々にキャッチボールの距離を伸ばしていった。ノックを受けても、全力で返球することはなかった。この日で実戦は12試合目。これまでは指名打者、代打での出場だった。「今日初めて紅白戦で外野のポジションにつけた。自分としては少し遅れた形だと思っている」。これから追いつく、強い意志を感じさせる言葉だった。

 打撃は問題ない。実戦通算26打数8安打、打率3割8厘、4打点。この日は3回、右前打を放つと二盗、三盗を決め足でも魅せた。「実戦の時に走っておかないとね。いざ本番で走れるかというとそんな簡単なもんじゃない」。気持ちは開幕に向いている。ブラウン監督も「彼に関しては全幅の信頼を寄せている。今日も自分の判断で盗塁してくれた。何も心配していない」と絶賛した。

 外野は赤松、天谷、アレックス、前田智、森笠…。2軍で調整中の嶋も開幕には間に合う見通しだ。激戦にも緒方はサラリと言った。「紅白戦といえども公式戦のために緊張感をもってやっている。時間もない。ここまで状態が上がってきてくれてうれしい。開幕スタメンで出るための準備」。「走・攻」の準備は整っている。慎重に進めてきた「守」もようやく本格化する。三拍子そろった緒方の参戦が、争いをいっそう熱くする。【網

 孝広】