<オープン戦:巨人1-1阪神>◇17日◇東京ドーム

 ウィリアムスは自然と奥歯をかみしめていた。脇谷、加藤から簡単に三振を奪って迎えたのは、巨人の1番高橋由。「ついつい力が入ってしまったね」。カウント1-2から高めに外れたボールは、151キロを計測した。最後も直球で遊ゴロに抑え、3者凡退で今季の初実戦を乗り切った。

 「実戦は久しぶりだったけどいい形で投げられた。ほっとしている。年をとってきて、こういう調整になってきているからね」

 待ちに待った出番だった。昨年のオープン戦初登板は3月9日。今年は開幕まで2週間をきっての初登場で、ようやく看板リレーのJFKがそろい踏みだ。

 本人は5日にあった島野育夫氏の追悼試合(広島戦)で投げることを直訴したが、まだ仕上がっていないと判断した首脳陣がストップをかけていた。今年で35歳になる助っ人は、過去5シーズンの実績から独自のスロー調整を許された。キャンプ段階からアップメニューには加わらず、ウエート室で思うがままにストレッチやトレーニングを行う。「それだけ任されたら、しっかりやらないといけない」。逆に責任感を募らせた。母国オーストラリアが北京五輪出場を逃した。阪神だけに集中する今季、その第1歩を力強く踏み出した。