<西武6-2ソフトバンク>◇30日◇西武ドーム

 ソフトバンク小久保裕紀内野手(36)のメモリアル弾も、空砲に終わった。2回。先頭で打席に入ると、西武先発石井一のスライダーを完ぺきにとらえ、左翼席中段まで運び去った。6試合ぶりに出た4号先制ソロは、史上21人目となる通算350号となった。「まだまだ打つつもりで野球をやっているので、区切りとも思わないし、特別な感情もわきません」。青学大から逆指名で94年にホークスに入団。足かけ15年で到達した記念の1発にも、チームリーダーは通過点としてとらえた。

 4月30日は小久保にとって思い入れのある日でもあった。王ホークスが初優勝を果たした99年。自身の入団1年目にチームの指揮を執っていた故根本陸夫元監督(享年72)が急逝。この日はかつての恩師の「命日」でもあった。「僕が(プロに)入った時の監督ですからね。(今日の1発を)多分、見届けてくれているでしょう」。恩師の命日に放った1発はこれが6本目。この日は史上21人目となる通算350号という形で、しっかりと恩返しした。

 「チームがこういう状態だし、自分のことは早く終わってほしかった。明日から5月。心機一転行きますわ。5月攻勢やね」。4月は9勝15敗と10年ぶりに負け越した。ただ、自身は左手首手術の影響で開幕に出遅れた。チームの巻き返しとともに、小久保の反攻もここから始まる。【石田泰隆】