<日本ハム1-7楽天>◇4日◇札幌ドーム

 楽天田中将大投手(19)が8回1/3を6安打1失点に抑え4勝目を挙げた。立ち上がりから最速150キロの直球で押し、8回まで三塁すら踏ませない好投。2試合連続完封は逃したが、堂々とした投球で札幌ドーム初勝利を挙げ、3連敗と苦しんだチームを救った。

 最大の難所でニヤリと笑った。7回1死一、二塁で小山に粘られると、1度構えたセットポジションを外した。球場中から起きたブーイングにマウンド上で笑顔を見せた。「打者のペースに入るのを少し外そうと思って」。結果は狙い通りの遊ゴロ併殺。1発で同点のピンチでも、心は少しも揺るがなかった。

 好投こそが何よりの恩返しだった。2日からの3連戦で岩隈、ドミンゴの両先発は1日に札幌入り。だが田中はそのころ大阪遠征中だった。それでも「うらやましい?

 いいんです。こっちの方がいいです」と戦いの輪に残ることを望んだ。試合後には「少しでも成長したところを見せれば喜んでもらえると思う」。戦う姿勢と文句のない投球で、2年目の成長を北の大地に見せつけた。野村監督も「ここ最近で一番よかった。やっぱり北国が合うのかなぁ。今日の1勝はいろんな意味で大きいよ」とほおを緩めた。

 ヒーローインタビューは場内中に響いた。ビジター選手としては札幌ドームで初となる粋な計らいに、ファンは敵味方なく大歓声を送った。「ここが地元かなという思いです。たくさん喜んでもらえるように、頑張っていきたいです」。再び札幌の土を踏むころには、さらに大きくなって帰ってくる。【小松正明】