<ヤクルト1-4中日>◇14日◇神宮

 中日山本昌投手(42)が苦しみながら今季2勝目、通算195勝目を挙げた。3回の守りで中堅森野が左足ふくらはぎを痛め負傷退場するアクシデントを乗り越え、気合十分の投球を披露。5回2/3を6安打1失点の内容で、リリーフ陣につないだ。史上26人目となる通算3000投球回も達成。悲願の200勝に「あと5」と迫った。ウッズ、李、中村紀が一発攻勢でもり立て、チームの連敗は3で止まった。

 山本昌が通算200勝へのカウントダウンに入った。勝利を見届けると笑顔がはじけた。「チームが負けていたので、勝ってほっとしています」。前回登板7日広島戦で360日ぶりの今季初勝利をあげてから中6日、自身2連勝で通算195勝目だ。

 初回から直球が140キロを計測した。2勝10敗と不本意な成績に終わった昨年は常時135キロ未満だったが、山本昌にとっての“大台”を連発。2回以降は毎回走者を背負ったが、4回には宮本を、5回には志田をともにスクリューで併殺に打ち取ってピンチ脱出。「スピードガンが壊れいるんでしょ。まあ最初から飛ばしていこうと思っていた」。冗談めかしたが、直球の復活が変化球の威力を増している。

 そして6回、田中浩を一ゴロに打ち取った時点で通算3000投球回を達成。偶然にも86年にプロ初登板した神宮での到達だった。続くガイエルの打席で暴投で1失点、さらに死球を与えたことで降板となったが史上26人目、球団史上初の快挙に花束が贈られた。「長くやっているんで、そういうこともありますよ」。両親から授かった大きく丈夫な体がある。ただ、それだけで到達できるものではない。開幕直後、2軍調整中の山本昌を見て若手投手陣はそのすごさを知った。

 7年目の山井がうなった。「いつもやるべきことをしっかりやっている。見ているだけで勉強になる。昌さんに比べればもっと走り込みが足りないし、研究も足りないと思った」。4年目の鈴木が脱帽した。「あれだけのベテランなのに1軍にいようが、2軍にいようが野球に対する姿勢が変わらない。やるべきことをきっちりやる」。球団史上初の200勝へあと5勝と迫ったが、若手投手に与える影響は数字と、名誉だけでは計れない。

 落合監督はこの日の午前中、約2週間前に刈ったばかりの頭を再び丸めた。カバンには長男福嗣さんがアニメ「ガンダム00(ダブル・オー)」のキャラクターを4体、お守りとしてつけてくれた。連敗を止めようという指揮官の験担ぎを、数々の修羅場をくぐり抜けてきた山本昌が実らせた。【鈴木忠平】