<中日7-2横浜>◇16日◇ナゴヤドーム

 中日吉見一起投手(23)が横浜打線を7回5安打2失点に抑え、ハーラートップタイの5勝目をマークした。2-0の7回、吉村に同点2ランを浴びたが、その裏和田が勝ち越しタイムリー三塁打を放ち、8回には李の7号満塁弾で援護された。得意の日曜日じゃなくても、本来より1日短い中5日の登板間隔でも、痛恨の一発を浴びてもやっぱり負けない。運も味方にした右腕が、チームを支える。

 負けない3年目右腕が、ついにハーラートップタイの5勝目を手にした。吉見は「そこまで考えていなかったし、開幕前から目標を立てていなかった。できすぎというか、どう評価していいのか、わかりません」と戸惑った。

 力投と強運で、白星を呼び込んだ。自慢のスライダーと外角低めの直球を武器にして4回までパーフェクト。だが2点リードの7回2死一塁で吉村に同点2ランを浴びた。「(吉村には)厳しく行けと言われていたのに。打たれるべくして打たれた」とがっくりと両手をひざについた。だが落合監督が「不思議な子だね。負けがつかない」と評した23歳には、運が味方していた。その裏の和田の勝ち越し適時三塁打で白星が転がり込んだ。

 危機感を持っていた。前回の10日巨人戦は初の中5日登板で4回4失点KO。「今日だめなら(2軍に)落とされると思って5日間を過ごした」。過去の4勝はすべて中6日の日曜日だったが、中5日での失敗が2度続けば、次の保証はない。巨人戦ではあごが上がり、上体が突っ込む悪い癖でボールが浮いた。「僕は投げている最中は夢中で気がつかないものなんです」。試合中に修正できるほど器用なタイプでないことを自覚して、準備期間を課題の克服にあてた。「力を抜いてリラックス、キャンプ中のことを思い出した」。そして中5日で結果を出した。

 かつては神経質なタイプだった。食事に気をつかって、健康器具を集めた。だが昨秋のドミニカ修行をへて「あっちはフライドチキンとコーラばかり。それしかないから食べてました」とずぶとさを身につけた。それは投球にも好影響を及ぼした。今季はストライク先行をモットーにしてきたが、この日は「早いカウントで打たれていたから、ボールから入ってもいい」と開き直った。すぐに悪循環に陥ってどんどん調子を落とした過去と決別した。

 日曜でも、中6日でもない、今季5勝目。吉見は、「日曜日?

 それはもう考えてないです」と笑った。23歳がまたひとつ階段を上がった。【益田一弘】