<ロッテ5-8巨人>◇21日◇千葉マリン

 巨人原辰徳監督(49)が勝負の鬼になった。ロッテとの交流戦5回2死、先発内海哲也投手(26)が、7-3と迫られた場面でスパンと降板を決断した。シーズンの状況を見れば反攻へ猶予はない。あと1人で勝利投手の温情よりも勝負に徹してピンチを断った。指揮官の決断が奏功して、8-5で逃げ切った。巨人は3連勝で借金1。23日西武戦(西武ドーム)で5度目の「借金完済」5割へ挑む。

 信念に基づいて、原監督はベンチを出た。5回2死満塁から勝利投手の権利を目前にした内海が3点を失った。交代を告げる。迷いはない。この先、しっかりしてもらわなければいけない左腕への檄(げき)でもあり、チームの勝利を最優先に考えた采配だった。

 勢いを止めるわけにはいかなかった。20日は6点差をひっくり返しての逆転勝利。一夜明けた今ゲームは、5回までに7点をリード。全く逆の試合展開で、4回まで0点に抑えていた左腕が、突如崩れた。「先発投手に白星を付けるというのは、僕も待望している。しかし、監督としての役割は、チームに白星を付けることだから」と厳しい表情で、あえて淡々とした言い回しで思いを告げた。2番手の西村健がピンチを切り抜け、その後も藤田-山口-越智-豊田-クルーンのなりふり構わない継投で、粘るロッテを何とか振り切ってみせた。

 非情と愛情は、背中合わせだった。19日の練習前、内海と顔を合わせた原監督は、黙っていられなくなった。「内海、お前の持ち味はどんな相手にも自分のピッチングを貫くことだ。強い相手になると“あわよくば打ち損じてくれれば”という感じになる。“あわよくば”なんてピッチングをするな!」と一喝した。15日の横浜戦では、変化球主体の投球で、4番の村田にスライダーを打たれ、一時は勝ち越しとなるソロを浴びていた。内海の基本は、直球で押し、変化球で牛耳るピッチング。今試合でも、ロッテNO・1の好打者3番西岡に甘くなったチェンジアップをタイムリーにされた。同じ過ちを繰り返した。打ち損じを期待するような投球をしていては、エースへの道が開けてこないという信念もあった。

 チーム浮上の原動力に、内海はならなければいけない存在だ。「エースの交代?

 誰がエースなの?」とあえて言った。「結果として連勝していいスタートを切れた。でも、先発がしっかりゲームをつくるという課題がある」と天敵ロッテを相手に交流戦の連勝スタートにも笑顔はない。「内海はエースにならなければいけない投手。その力もある」と常々、話している言葉だ。内海の逃した1勝は、チームの勝利には結びついた。悔しさは、バネにすればいい。逆転優勝-。原監督の目標も、チームの目標も、奮起した内海の左腕に大きな比重がかかっている。【小島信行】