<阪神3-2ソフトバンク>◇7日◇甲子園

 虎退治の名人も、最後は力尽きた。ソフトバンク杉内が阪神戦でついに負けた。延長10回1死満塁。149球目のスライダーを新井に左前へはじき返された。「勝ちたかったよなー。阪神戦初黒星?

 そういうのはいつかは負ける。それにしても勝ちたかった」。対阪神戦は03年の日本シリーズを含め、8戦5勝0敗、防御率1・72を誇っていた。杉内にとってプロ入り初の延長戦登板は、何ともほろ苦い思い出が残った。

 セ・リーグ首位とパ・リーグ4位の差が出た。9回無死一塁で9番杉内に打順が回ってきた。阪神は「JFK」の継投リレーで、マウンドにはウィリアムス。杉内は8回まで123球。代打で確実に犠打、という選択肢もあった。「杉内くらいの投手はこの1試合は任せた、と送り出している。今日も行けるところまで行こう、と」と杉本投手コーチ。抑え不在という中継ぎ陣の苦しい台所事情も背景にはある。杉内は3バント失敗で三振。無得点のまま延長戦に突入した。

 一方の阪神は延長10回1死から抑えの藤川に、代打葛城を起用した。右前安打を放ち、サヨナラ勝利の突破口を開いた。延長11回以降にも久保田という信頼できる中継ぎ投手を残す、阪神だからできる積極策。中継ぎに不安を抱えるソフトバンクが杉内と心中したのとは好対照だった。「チャンスはあったんだがな。本当に点にならん。杉内はよく放ったよ。今日は投手の責任じゃない」。王監督は2戦連続2ケタ残塁で、3回以降は無得点に終わった打線に敗因を求めた。

 全勝を誇った延長戦も6戦目でついに負けた。1週間で最大3の貯金を使い果たし、勝率5割に戻った。「これでまた5割か。3まで行って、そこをなかなか超えられん。広島に行って、気分を変えてやろう」と、王監督も一進一退が続くチーム状態に頭を抱えた。パ・リーグ首位の西武には、再び7・5ゲーム差まで離された。【中村泰三】