首位に7・5ゲーム差の2位に甘んじる中日落合博満監督(54)が、巻き返しへの勝負手に出た。16日、石井裕也投手(26)を放出し、横浜小池正晃外野手(28)を獲得する交換トレードを発表。得点力不足を解消し、故障者続出の現状を打破すべく、トレード封印の方針を翻した。さらに2軍でリハビリ中の主力組のため、宇野勝打撃コーチ(50)をファームの本拠地ナゴヤ球場に配置することを決めた。小池は17日、名古屋市内の球団事務所で入団会見を行う。背番号は「30」となった。

 午後3時、中日は石井と横浜小池のトレード成立を発表した。きょう17日からの西武戦に備えて金沢球場で練習を視察していた落合監督は、この発表を受けてシーズン半ばでの緊急補強を説明した。

 「横浜からお願いしますって来たんだ。まあ両方にとってメリットがあるだろう。シーズン中はしたくないし、しないと言っていたけど、お互い1軍で出るチャンスができるからな」。

 開幕スタメンから野手は森野、李、谷繁が出場選手登録を抹消され、さらにこの日は井端が登録を外れた。交流戦の得点、チーム打率が12球団最低に落ち込んでいるのは故障者続出が大きな要因だ。それだけにシーズン中は選手を放出しないという方針を曲げ、横浜の要求に応じた。

 「使うよ。すぐに使いますよ。落とせるやつはいっぱいいるもん。あとは競争すればいいじゃないか」。

 落合監督はすぐに1軍で起用すると明言した。小池は今季は1軍出場はないが、05年に20本塁打を放った打力を持つ。きょう17日に名古屋市内の球団事務所で入団会見を済ませ、早ければ18日西武戦(富山)、遅くとも21日からのロッテ戦(ナゴヤドーム)から合流する見込み。森野、李と開幕の中堅、右翼手が2軍にいることから、いきなりスタメン右翼で出場する可能性もありそうだ。

 さらに落合監督はもう1つ手を打った。この日から1軍の宇野打撃コーチを2軍の故障者組専属とし、ファームの本拠地ナゴヤ球場に配置することを決めた。「1軍の選手は1軍のコーチが見ないとな」。森野、李、谷繁、井端という1軍主力メンバーが回復するまで指導する“特命コーチ”の配置は、スムーズな1軍復帰を助ける狙いがある。

 「故障が出たら仕方がない。7月いっぱいはこういうメンバーで戦うかもな。下(2軍)から状態のいいやつを上げるよ。オレこういう野球の方が好きなんだ」。スタメン野手8人を固定して戦う方針を掲げてきた指揮官は、完全競争主義に方針転換。選手を頻繁に入れ替えて優勝した04年型の戦いで首位追撃をはかる。【鈴木忠平】