<横浜3-1中日>◇28日◇横浜

 中日の連勝は6で止まった。0-3の6回、中村紀が14号ソロを放ったが、後続が続かず反撃は1点止まり。中村紀が本塁打を放った試合は昨年9月から15連勝中だったが「不敗神話」も16試合目で止まった。先発小笠原はアーチ2発に泣き、4回6安打3失点で5敗目(7勝)を喫した。首位阪神追撃に向け、仕切り直しとなった。

 打てば負けない。中村紀のホームラン不敗神話が崩壊した。チームの連勝も止まった。「それは仕方ない。結果的にそうなっていただけだから」。中村紀は帰りのバスへ歩きながらそう言うと、少しだけ悔しそうな表情を見せた。

 0-3とリードされた6回だった。横浜・那須野のシュートを右翼席へ運んだ。「監督にシンプルに考えろと言われていた。きた球を無心で打つ。そういうことができた」。反撃ののろしとなるはずの14号ソロ。昨年から中村紀が本塁打を放てば15連勝中だっただけに逆転劇を予感させた。だが、交流戦打率が12球団最低だった打線は、この1点のみに終わった。

 落合監督は、敗戦を神話や勢いで片付けなかった。「形?

 作っていない!

 間違えた!

 歩のない将棋は負け将棋。勝負事は1個のずれが1個のずれじゃすまなくなる」。7安打を放ち、4つの四球を選びながら9残塁で攻めきれなかった。その要因を将棋の駒である「歩」に例えた。落合監督は「さあどこでしょう?」と場面は明かさなかったが、最大のチャンスは6回だった。

 中村紀の一発で1点を返した後、無死一、二塁。ここで指揮官は6番井上に強行させた。結果は二飛。走者を進めることができず、次打者のデラロサが遊ゴロ併殺でチャンスをつぶした。1マスずつ前進する「歩」が将棋では重要な役割を果たす。同様に1つずつ確実に走者を進めるのが落合野球。それだけに6回の強行策を悔いたのかもしれない。

 「うちは勢いで野球をやっていない。理詰めで野球をやらないと」。不敗神話も、連勝の勢いも、理詰めの野球が大前提にあればこそ。首位追撃へ、再出発するしかない。【鈴木忠平】