中日落合博満監督(54)が29日、北京五輪へ「特命トレーナー」を派遣するプランを明かした。6人の日本代表候補に加え、チェンが台湾、李が韓国の代表候補となっている状況を踏まえ、五輪期間中チームトレーナーを現地入りさせ所属選手をケアするというもの。終盤戦を見据え「代表組」の体調を徹底管理する狙いだ。この日の横浜戦(横浜)は雨天中止。阪神が敗れたためゲーム差は6・5に縮まった。7月1日からは敵地・甲子園で直接対決を迎える。

 落合監督の視線は早くも五輪期間中とその後を見据えていた。雨天中止となった横浜スタジアム。降りしきる雨を見つめながら「特命トレーナー派遣プラン」を披露した。

 「問題にはならないよな?

 トレーナーを向こうにやろうと思っている。選手も知らない人に体を触られるのは嫌だろうからな」。

 20日に発表された日本代表候補39人の中に川上、岩瀬、吉見、井端、荒木、和田が入った。さらにセットアッパーのチェンが台湾、2軍調整中の李が韓国と、それぞれ母国の代表候補となっている。最大8人が約1カ月、チームを離れるだけに体調管理は重要な問題。そこで普段から選手たちの体をケアしているチームトレーナーを現地に送り込み、ホテルの部屋でマッサージなどを行わせるのだ。

 「例えばチェンやビョン(李)がトレーナーの部屋にいってマッサージを受けることだってできるんだろ?

 トレーナーの費用は球団が出すんだから。(選手は)球団の宝なんだからな」。落合監督は国と国との戦いに配慮して日本代表スタッフではなく、あくまで中日のトレーナーとしての派遣であると強調した。

 北京へ派遣されるのは溝際トレーナーの予定。昨年台湾で行われたアジア最終予選でも中日勢をサポートしている。「まだはっきりとはわからないですが、監督からはチェンやビョンも見てやってくれと言われています」。球場やベンチに入ることはできないが、球場外で選手をサポート。コンディションを逐一、チームに報告する。

 代表に大量招集されれば戦力ダウンは否めない。それでも北京五輪の野球・決勝翌日8月24日からは巨人、阪神との5連戦が待っている。勝負の終盤戦に代表戦士たちが万全の状態で戻ってくれば勝機はある。そのためにも打つ手は打つ。【鈴木忠平】