<ロッテ10-1ソフトバンク>◇4日◇千葉マリン

 千葉マリンの夜空に高々と舞い上がった打球を、誰もがかたずをのんで見守った。ソフトバンク戦の6回。無死満塁から代打で登場したロッテ大松の打球は、美しい放物線を描いて右中間スタンド中段に吸い込まれた。「久しぶりのマリンで最高の場面で最高の形を出せた。本当にうれしい」と胸を張った。これで今季は満塁で4打数4安打の打率10割。満塁本塁打は4月9日の西武戦に次いで2本目だが、代打では自身初の満塁アーチで勝利を決定づけた。

 「左対左」を苦にしない勝負強さを見せた。代打に送られた直後に、ソフトバンクが右投手の久米から左投手の三瀬に交代した。これまでなら左投手で下がる起用法が多かったが、この日のバレンタイン監督は動かなかった。その期待に応えるように、6球ファウルで粘った後の10球目、真ん中に入ったシュートを見事に仕留めた。「左投手で出させてもらっている時は、どんな汚いヒットでもいいから結果を求めている」と言う貪欲(どんよく)さが実を結んだ。

 今年は自主トレから母校・東海大の陸上部に弟子入りし、「なんば走り」で足腰の強化に努めた。「守備面だけでなく、打撃面でも安定した下半身が重要」と徹底的にいじめ抜いた。それが数字に表れ、現時点ですでにプロ入り後初の2ケタ本塁打となる12号。バレンタイン監督は「今年はすべての面でレベルアップし、パワーを見せてくれている」と信頼を深めた。

 大松が師匠と慕っている福浦も「3冠王を取れる素質がある」と認める逸材。チームは最下位と低迷しているが、それを忘れさせるほどの魅力あふれる1発だった。【鳥谷越直子】