<横浜0-7阪神>◇4日◇横浜
阪神のベテラン左腕が、JFKにつかの間の「夏休み」をプレゼントした。過酷な7月戦線。下柳剛らしく、緩急をつけたテクニックで横浜打線を幻惑した。7回に入っても球威、制球力ともに衰えない。先頭吉村にはフォークを連投。バットの芯を外して、三ゴロに抑えた。後続も変化球でかわして、内野ゴロに打ち取る。鉄壁の守備、バッテリーを組む矢野の一撃…。バスへの帰路。途切れ途切れの口調に、感謝が込められる。
「(野手の好守連発に)いつものことやんか。(矢野は)打つも守るも大きいよ。(JFKを休ませて)良かったんじゃないか」
先発投手の模範だ。リーグ戦再開後は救援陣がフル回転しており、休養を与えたい状況だった。中盤の2点リードを保つだけではない。長いイニングを投げることも大きな役割だ。この日は7回を2安打無失点。先発が7イニング以上投げるのは5月31日・日本ハム戦の岩田(8回2失点)以来だった。岡田監督も、40歳左腕の奮投に声をはずませた。
「今日も(安打)2本やろ。ペース配分というか、力だけじゃない。実績も経験もある。若い投手も見習わないといけないところがいっぱいあるよ」
『戦い』は試合前から始まっていた。蒸し暑い横浜スタジアム。下柳は自らの体と“会話”した。ウオームアップを終えると普段よりも短めの練習で、ロッカールームに引き揚げた。無駄な体力を消耗しない-。スタミナを蓄え、肝心の本番に備えた。「バテバテです」と話したが、計算し尽くされた調整が奏功した。
今季8勝目をマークし、勝率は、中日吉見と並んでリーグトップ(8割8分9厘)に躍り出た。下柳の力投が、歴史的快進撃の原動力になっている。厳しい夏の訪れが近づくが、意気盛んに言う。「夏は毎年あることやから」。球界での処世術を心得た鉄腕が、チームの勢いを加速させた。【酒井俊作】



