<横浜4-9阪神>◇5日◇横浜

 首位を独走する阪神が2位中日に今季最大の10・5ゲーム差をつけた。横浜戦で打線が7試合連続の2ケタ14安打で9得点の猛攻。ベテラン矢野輝弘捕手(39)が、先制3号2ラン含む4打数4安打3打点と大暴れした。激励に訪れた映画「ラストサムライ」主演の俳優渡辺謙(48)も大喜びの爆勝劇。7月は負けなしの5連勝で、虎がノンストップで優勝へ突っ走る。

 猛虎打線の勢いは止まらなかった。最下位で50敗目前の横浜相手とはいえ、打線が交流戦後7試合連続の2ケタ14安打9得点。ベテラン矢野の先制弾が猛打の幕開けだった。

 2回2死一塁から、真ん中に入った那須野の失投を見逃さなかった。フルスイングした打球は高々と上がり、左翼席へ3号先制2ラン。前夜に続く先制アーチで主導権を握った。矢野は「オヤジパワーです。でも金本ほどたくさん打てないですから。ボクは少ししか打てないですし、連勝が続くようにしたい」と胸を張った。

 試合前、映画「ラストサムライ」で話題となった俳優渡辺謙が、ナインを激励に訪れた。熱狂的な阪神ファンで、練習を終えた岡田監督をはじめ、下柳、金本ら主力に声をかけた。渡辺は「星野さんの時は、ある種の(勢いで勝てる)ムードがあったけど、今年はムードじゃない。本当の強さ、チーム全体の底力を感じる」と話した。

 世界の映画スターが観戦する中、矢野は5回にも中前適時打を放つと、7回には右前打、9回にも三塁強襲の内野安打で、今季8度目の猛打賞4安打3打点の活躍だ。これで今季の横浜戦は27打数12安打、打率4割4分4厘。横浜スタジアムでは18打数11安打、打率6割1分1厘と驚異的な相性の良さだ。

 矢野は「オレもよう分からんわ。打てるなら何でもいいよ。ずっと横浜やったらすごいことになるな。厳しい球を打てる打者じゃないし、甘い球を打てているんじゃないですか」。矢野が本塁打を放った試合は15連勝。適時打を打った試合も1分けを挟んで25連勝と“不敗神話”は続く。貯金は26に増え、2位中日とは今季最大の10・5差に広がった。「連勝もどんどん伸ばしていきたい」。この日の主役は、間違いなく矢野だった。【福岡吉央】