<中日2-4ヤクルト>◇11日◇ナゴヤドーム

 中日が痛い敗戦を喫して3位に転落した。久々の連勝をかけて中日エース川上憲伸投手(33)が先発。序盤2点のビハインドを7回に追いついたが、8回に川上が力尽きて痛恨の2失点。打線は5番和田、6番中村紀がともに途中交代のアクシデント…。頼れるエースで勝てず、さらに中軸の2人が欠けるとなれば深刻さは増大。首位阪神が勝ったため、再び中日の自力Vは消滅した。

 最後の打者・英智が倒れるとドームはため息につつまれた。プロ野球史上4球団目となる4500勝がかかった試合はあっけない幕切れ。前夜、復活した自力優勝の可能性が再び消滅。巨人に抜かれ、4月5日以来の3位に転落した。ただ、それ以上に不安なのは和田、中村紀の得点源2人が試合中にいなくなったことだ。「これは仕方ない。明日?

 わからない…」。落合監督は試合後、苦笑いで言った。

 2回、和田が遊ゴロ併殺打を打った後、トレーナーに腰痛を告げるとベンチ裏へ消えた。さらに7回には中前打を放った中村紀が松岡の暴投で二進し、オーバーランした際に左足内転筋に痛みを訴え、その裏の守備から小池と交代した。この日までチーム278得点中、3割以上の89点をたたき出していた「ノリ・ベン」を欠いた打線は6安打で2点止まり。2点を追う7回には和田の代わりに出場した英智のタイムリーと相手の暴投で同点に追いついたが、そこまでだった。

 森野と井端が復帰してようやくベストの布陣がそろったと思った矢先にまた故障者が出た。「ある意味、去年の11月まで野球をやっていたつけがきているんじゃないか。ケガ人が多いというのはな」。和田も、中村紀も突発的なものではなく、蓄積された痛み。落合監督は故障者続出の要員を昨年ペナントレースからアジアシリーズまで完走したツケだと言った。そうでも言わなければ説明できないだろう。

 和田は「明日になってみないとわからない」と球場を後にした。中村紀は「明日は出るつもりでいきます」と気丈に言った。落合監督は2人を抹消しないことを明言。その上で控え選手たちの奮起に期待した。「下(2軍)からだれか来ることはない。もっと悲惨なことはナンボでも見てきた。長いことやっていればな。まあ、若いやつを使いやすくなる。そこからはい上がってくるやつがグラウンドに立つんだ」。もはや流れを変えるラッキーボーイの出現を待つしかない状況に追い込まれた。【鈴木忠平】