<阪神5-2広島>◇13日◇甲子園

 衝撃のスチールが阪神に流れを一気に引き寄せた。2-2の同点で迎えた8回、1死から金本が四球で出塁した。5番関本が早々とバントの構えで送る気配を見せた次の瞬間、金本が甲子園中をアッと言わせるスタートを切った。タッチを蹴散らすように、二塁に滑り込んだ。昨年7月27日横浜戦(甲子園)以来で、40歳になって初めての盗塁を決め、代打葛城の決勝三塁打を呼び込んだ。

 「サインかって?

 秘密秘密。もう年を取りました。明らかにスピードが落ちました」とおどけた。広島時代の00年の30盗塁をピークに、阪神の4番に座る04年から年間盗塁数は5、3、2、1と年々減っていた。とっておきの奇襲だったが、岡田監督は「予定通り。(金本が)カウント0-3になった時から考えていた」と言った。広島シュルツのモーションが大きいこと。昨オフに左ひざを手術した金本が盗塁可能であること。場面、展開も織り込んで切り札を切った。

 代打桧山が凡退し、鳥谷が歩かされたが、金本の激走を無駄に出来ないと葛城が速球を狙い打ち。一塁線を破る三塁打で2人がかえった。葛城は「この勢いは優勝が決まるまで、そして決まった後まで続きます、うぉ~っ!」と雄たけびで答えた。アニキの二盗から広島と中日の自力Vが消え、阪神のクライマックスシリーズ進出マジックが再点灯した。15日、阪神がヤクルトに勝ち、巨人が中日に敗れれば、今度は優勝マジック51が点灯する。