<巨人4-7中日>◇15日◇旭川

 中日の42歳左腕山本昌投手が巨人戦に先発し、6回7安打4失点で今季4勝目、通算197勝目を挙げた。巨人戦通算勝利数は史上4位タイの38勝となった。中日は落合監督が指揮をとった04年以来、北海道での巨人戦は6戦全勝。連敗を2で止めるとともに、2位巨人に1・5ゲーム差に迫った。また、この日の勝利で巨人、阪神、オリックスに次ぐ球団通算4500勝を達成した。

 山本昌に、中盤で崩れるいつもの姿はなかった。4回に阿部の3ランで1点差に詰め寄られた後の2死二塁の場面。初回に先頭打者弾を浴びた高橋由を、フルカウントから外角低めにこん身の直球で見逃し三振。「気持ちで投げたっていうのでもないけどね」と照れたが、ピンチを防いで立ち直った。続く5回、6回は無失点。5月21日楽天戦以来55日ぶりの4勝目、通算197勝目を挙げた。

 「もう少し楽に勝てるゲームにすればよかったけどね。でも最後の2回があったからよかったんだろうね。とにかくチームが勝ててよかった」。最近6戦勝ちなしの長いトンネルを抜け、200勝へ1つカウントダウンした。

 「Gキラー」として復活した。巨人戦の勝利は、07年5月13日以来429日ぶりで通算38勝目。現役最多、歴代でも同じ中日の杉下茂氏に並ぶ4位タイとなった。昨年は5月13日に勝って以降4連敗。巨人との優勝争いで役割を果たせずチームもV逸。53年ぶりの日本一に輝いたポストシーズンは出場できなかった。オフの口癖は「チームに迷惑をかけた」。この日、意地を見せ、2位巨人に1・5ゲーム差とした。

 これで球団は通算4500勝を達成した。山本昌は「今日で4500勝でしょ?」とうれしそうに口にした。不調でファーム調整になると、2年目清水昭ら若手にアドバイスを送る。投げ方の違う右横手投げの斉藤の質問にも身ぶり手ぶりで答えた。体調管理のために「休日返上」でナゴヤ球場を1人で走る姿は若手のお手本でもある。そんな中日ひと筋の25年目左腕が94年の3500勝目に続き、節目の星を呼んだ。

 落合監督は「いいじゃないか、マサ(山本昌)は。今日、200勝したわけじゃないんだから」と冷静だった。それでも「出直しには北海道だと思った。しかも巨人戦とくればな」。04年の監督就任後、北海道での巨人戦はこれで6戦6勝。ゲンのいい場所で、苦しんでいた山本昌に白星がつき、しかも節目の4500勝。落合監督は、記念の白星について「長いことやっているんだな」と、少しだけ表情をゆるめていた。【益田一弘】