<横浜2-6巨人>◇19日◇横浜

 優勝マジックはつけさせない。巨人の高橋尚成投手(33)が今季最長タイの7回を投げて横浜を7安打2失点に抑え、4勝目を挙げた。負ければ、ナイターの阪神にVマジック47が点灯する可能性があったが、高橋尚が3回までに5奪三振と立ち上がりから飛ばしてチームに連勝をもたらした。

 高橋尚は打者に背を向け帽子を取り、1度大きく深呼吸をした。1点差の7回裏2死、一、三塁。仲間が集まった輪が、解けた直後だった。尾花投手コーチから「お前に任せた。頑張れ」と言葉をもらっていた。

 どうしても越えなくてはならない、ヤマだった。再び1軍の舞台に戻ってから4度目の先発。過去3度すべて、5回2/3で降板していた。「チャンスをもらって投げさせてもらってきた。切り抜けていかないと」。横浜大西に内角直球を集め、最後は145キロを外角低めへ。こすった打球は力なくセンターに上がった。「1アウトでも多くアウトを、と思って投げていた。大進歩じゃない」。相手と自分との勝負に勝った。今季自身最長タイの7イニングを投げての4勝目。握り拳が自然と出た。

 5月下旬から1カ月をジャイアンツ球場で過ごしてしまった。もらうアドバイスすべてに耳を傾け頭の中が整理できず「投球のお手本」と言われるフォームを崩していた。「藁(わら)にもすがる思いだったから…」。しょぼんと話していた。昨年好調時の映像を見、研究を重ねた。

 右足の上げ方に狂いがあった。体から離れ、遠回りに上がっていることに気が付いた。お尻の右半分を打者に突き出すように、体から離さず足を上げパワーをためる。最大の長所を見失っていた。モデルチェンジではなく、原点回帰の1カ月。「氷袋を頭に当てながら」の炎天下での快投で、無駄でも遠回りでもなかったことを証明した。

 闘争心もすっかり戻った。「自分らしい投球ができればいい。まだ上に阪神がいる。これからだよ」と言った。虎に食らい付くために欠かせない、生え抜き左腕の完全復活。どっかと腰かけ続投させた原監督の信頼も、すっかり戻った。「何とかもう1人と思っていたが、力を振り絞ってくれた。詰まらせ、ねじ伏せた」。試合後ベンチ裏、2人でガッチリ握手を決めた。【宮下敬至】