<中日7-6阪神>◇20日◇ナゴヤドーム

 中日中田賢一投手(26)が6月15日オリックス戦以来35日ぶりの今季6勝目を挙げた。再登録から一夜明けて、4回途中から2番手で中継ぎ登板。5回を投げて7安打3失点、8三振を奪う投球を見せて、復活星を挙げた。

 不穏な空気を振り払った。3点差に迫られた4回1死一、三塁。「ピッチャー中田」のコールが響き、ナゴヤドームが揺れた。19日ぶりの1軍投球。中田はフォードをフォークで空振り三振、野口を三ゴロに仕留めてピンチを脱出。阪神の追撃ムードを断ち切った。

 原点回帰の投球だった。今季は制球と球威の両立を求めたが、2日に2軍降格。ファームでは球団に頼んで過去の自分のDVDを研究。ある試合が目にとまった。昨年10月20日巨人とのクライマックスシリーズ第3戦。4回の巨人李とウッズの乱闘騒ぎから「気持ちが入った」と巨人をなで切り。7回 2/3 を2失点、11奪三振で日本シリーズ進出を決めた大一番の映像を見て、剛球で押す自分の姿を思い出した。「細かいことをやってもしょうがない。腕を振る、それが僕のスタイル」と悩みを断ち切った。

 ただこの日は最終回に1死満塁を招いて岩瀬にマウンドを譲った。落合監督は「次だろうな。次の先発の時にどういう投球をするかだ」と評価を保留。中田も承知している。「どんどん攻めていく投球はできたと思う。ただ最後にあんな場面を作って納得はいっていません」。“暴れ馬”が完全復活した時、オレ竜の逆襲が始まる。【益田一弘】