<ソフトバンク14-0ロッテ>◇25日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンク大隣憲司が今季2度目の完封勝利を、自身初の無四球で飾った。許した安打はわずか3本。4回2死からは打者16人を完ぺきに封じる圧巻の投球で、スコアボードに9個の0を並べた。「最近は四球で崩れることがない。ファンの方も安心して見ていられるのでは」。お立ち台では、ファンの心情にまで気を配る余裕?

 も見られた。これで連続無四球イニングは、20回2/3と自己記録をさらに更新。入団2年目で自身初の2ケタ勝利に王手をかける、9勝目を手にした。

 この日、ドームの外は36度を超す、猛暑日を記録したが、大隣の頭の中は冷静だった。4回。2死からサブローに三塁打を許し、打席にはベニーを迎えた。「前回の対戦でフォークを打たれたイメージがあった。ミーティングでは外の直球を打ってないと言われていたので」。直球一辺倒で2-1と追い込むと、最後も144キロの外角直球で空振り三振。先制のピンチを断つと、直後に味方打線から5点のビッグなプレゼントを受けた。「本当に今日は大量点をもらい、楽に投げられました。野手の方に感謝です」と頭を下げることを忘れなかった。

 この1勝は大隣にとっても自信のつく1勝となったが、チームにとっても価値ある1勝となった。優勝争いが激化する8月は、北京五輪開催のため杉内、和田の両左腕がチームを離れる。ただでさえ先発不足に悩むチームにとって、大隣の出来がシーズンを左右するといっても過言ではない。「和田さん、杉内さんが(北京五輪に)行ってしまう。その前にこういう投球ができて本当によかった」。重大さはほかの誰でもない、大隣自身が痛感している。その思いを体現する、117球の無四球完封ショーだった。【石田泰隆】