<ヤクルト4-3阪神>◇28日◇神宮

 安定感なら“アベケン”だ。先発が崩れた時に現れる。猛虎のリフォーム担当・阿部が、当たり前のようにゼロを並べた。

 同点に追いついた直後の4回。試合の流れを落ち着かせた。先頭は5番田中。楽な打順ではなかったが、テンポ良くアウトを重ねた。2死から7番川島慶を四球で歩かせたが、野口が盗塁を刺して3人で仕留めた。続く5回は決め球に外角直球を選び、先頭から2者連続三振だ。最後は1番福地を二ゴロに仕留め、2イニングを6人切り。行き詰まる接戦の中、普段通りの投球を披露した。

 「負けている場面でも、いつも3人で抑えようと思っている。ビハインドだったら、これ以上失点しないように、ゼロに抑えられるように、と。そう考えて、テンポが良くなってきているんだと思います」。

 開幕から“敗戦処理”を任された。快進撃を続けるチームの中、登板機会に恵まれない時期もあった。それでも地道に結果を出し、信頼を勝ち取った。今季20試合目。大量リードでの登板はあったが、同点の場面は初めて。それだけ信頼度が上がった証拠だ。防御率も2・27とした。

 オフにオリックスから移籍。3月。開幕の中継ぎ枠を争う中、思わず本音もこぼれた。「大変なんです。激しいですよね。(阪神投手陣は)本当にレベルが高い。もう必死ですよ」。表情には出さない。闘志を胸に秘め、マウンドに立ち続けた。そして、強固な虎投リリーフ陣の貴重なパーツに変身した。

 これで7月10日巨人戦(甲子園)以来、6試合、11イニング連続無失点。首脳陣の「アベケン」評は、確実に上昇している。【佐井陽介】