<西武11-2日本ハム>◇10日◇西武ドーム

 今季3度目の超スローボールも、沈滞ムードを吹き飛ばす効果はなかった。日本ハム多田野は、中村にグランドスラムを浴びるなど5回9安打で自己ワーストの7失点。「調子自体は悪くなかったんですけど…。西武打線は迫力がある。甘く入ってしまいました」。3回、ブラゼルに計測不能の超遅球を投げ込み、続く137キロの速球で見逃し三振を奪ったのが、唯一の見せ場となってしまった。

 ペースを乱された。3回の栗山、5回の黒瀬、中村に許したホームランはすべて初球。「初球からくるのはわかっていたけど、コントロールが甘くなった」とマスクをかぶった鶴岡。緩急を使った投球術で“自分の土俵”に引きずり込む前に、初球を狙われ、痛打された。

 後を受けた救援陣も崩れ、今季5度目の2ケタ失点。西武ドームは4月16日から5連敗となり、今季5敗1分けと、パの本拠地で唯一勝ち星がない鬼門のままだ。5月5日には6点差をひっくり返されて大逆転負けを喫し、同7日にはダルビッシュがサヨナラ打を許して敗戦投手になるなど、“所沢の悪夢”が続いている。試合前「しょうがない。球場を代えてくれとも言われへん」と笑い飛ばしていた梨田監督も「(中島、G・G・佐藤の)2人が抜けたからって、こないだも16点取っていたし(大量失点も)当然ありうるとは思っていたけど…。(5回の)5点が効いたな」と顔をしかめた。

 ダルビッシュ抜きの8月はローテの中心となるべき多田野が、ここ2試合で13失点5被弾。「切り替えていかなければなりません」と前を向いたが、本人にとってもチームにとっても、前途多難を予感させる11連戦の幕開けとなった。【本間翼】