<西武7-1ソフトバンク>◇20日◇西武ドーム

 前夜の石井一に続き、西口文也投手(35)も本来の輝きを取り戻した。6回まで毎回走者を出しながら、要所を抑えるツボを知っていた。失点は大村のソロ1発だけ。粘り強い投球で6勝目を挙げ、点灯させたばかりのマジックを2つ減らして「26」にした。

 勝負どころでは力で押した。1点リードの4回2死満塁。遊撃黒瀬の送球ミスから招いたピンチに、ソフトバンクは早くも代打本間で勝負をかけてきた。「絶対に抑えてやろうっていう気持ちだけでした」。2つ目の失策で気落ちしていた黒瀬のためにも、点はやれない。力の限りをこめた143キロ外角直球で、本間を見逃し三振に仕留めた。

 今年は助けられてばかりいた。防御率5点台と不本意な投球が続き、失点が多くても、大量援護を受けて勝ち星を拾う試合も少なくなかった。「スライダーがだいぶ良いし、直球も思っているところにいくようになった」。もう自分との闘いは終わった。ミスした後も「気にするな」と何度となく声をかけてもらった黒瀬は「あそこで抑えてもらって、本当に助けられました」。若手を救う、ベテランならではの働きだった。

 「ここという時に1番いいボールを投げる。さすが150勝以上している投手だね」と、渡辺監督も賛辞を惜しまなかった。マウンドでどこか不安そうだった面影はもうない。「ここ最近はいい投球ができている。最後までこの調子でいきたい」と自信を取り戻した157勝右腕が、出遅れた分も一気に取り返す。【柴田猛夫】