<ヤクルト0-5巨人>◇20日◇神宮

 巨人坂本勇人内野手(19)が2度目の2試合連続本塁打を放ち、巨人がヤクルトに連勝した。新人王争いの権利のある村中をたたく、豪快な1発、恥ずかしそうに「おっぱっぴー」ポーズも見せた。先発バーンサイドは7回2安打無失点の見事な投球で、5勝目を挙げた。阪神も勝ったためゲーム差は7で変わらないが、巨人は貯金を10とした。

 坂本は人工芝を鋭くスパイクで蹴り上げ、走った。打球が左翼ポール際の頭上を襲う。高々と上がった打球はGファンで埋まった左翼席に突き刺さった。「入ったかどうかわからなかったので一生懸命走りました」。三塁塁審の手が大きく回るのを確認すると、表情を和らげた。2試合連続のアーチ。4月8日の横浜戦で2試合連続の2号弾を放って以来、2度目の連続本塁打となった。

 狙い通りだった。3点リードで迎えた4回無死、初球のフォークを見逃し、カウント0-1。2球目の直球をフルスイングした。「真っすぐを狙ったところにインコースよりのストレートが来たので、うまくバットが出せました」。制球に苦しむ村中の心中を読み、直球でストライクを取りに来ると読んだ結果だった。

 明るく前向きに戦うことを心に決めた。11日の全体練習で原監督が「ルーキーで、最初は(ミスも)許してくれるけど、これから(シーズン終盤)はそうはいかない。(優勝争い、CSも見据え)一発勝負で戦えるかを判断しないといけない」と、叱咤(しった)激励した。

 翌日から坂本の表情に変化が表れた。「僕はやるしかないですからね」。短い言葉に思いを込めた。12日は無安打に終わったが、13日の阪神戦前には「考えていても仕方ない。明るくいこうと思っているんです」と、下を向かなかった。“何かを変えなくてはいけない”。悩み抜いた19歳は普段の振る舞いから変えていった。

 カメラ前でラミちゃんのお得意パフォーマンス「おっぱっぴー」を照れ笑いを浮かべながら決めた。「昨日もやれって言われていたんですが、できなくて…。テレビに映ってたんですか?

 あんまり書かないでくださいよ」。試合後はクールな19歳の笑顔をのぞかせた。首位阪神との差は7ゲーム。ひたむきに取り組む坂本が、逆転優勝に向けた“ラッキーボーイ”に名乗りを上げた。【久保賢吾】