巨人上原浩治投手(33)が、28日の横浜戦(東京ドーム)で先発復帰する。今季は開幕から5試合に先発して0勝4敗と調子が上がらず、6月27日の出場選手再登録後は中継ぎとしてフル回転してきた。北京五輪前には5試合連続で無失点、五輪でも守護神で2試合に登板し2回を無失点に抑え、完全復活した姿を見せた。チームは首位阪神に7ゲーム差に迫り、自力優勝も復活した。上原で勝って、29日からの阪神3連戦に勢いをつけたい。逆転優勝の起爆剤として、エースが4カ月ぶりの先発のマウンドに上がる。

 上原が4月26日以来、124日ぶりに先発マウンドに帰ってくる。24日に北京から帰国した上原は、26日に出場選手登録。この日は2日続けて外野付近で捕手を座らせてボールを投げ込み、50メートル、30メートルダッシュで最終調整を行った。ベンチ入りメンバーには入ったが、28日の先発に備え、ブルペン待機はせずに試合途中に引き揚げた。

 逆転連覇に向け、最善の戦略だからこその上原先発だ。これまではグライシンガー、内海、高橋尚、バーンサイド、金刃の5投手でローテーションを構成していた。だがこの日、韓国代表で金メダルを獲得した李承■の昇格が決定し、外国人枠の関係からバーンサイドが降格することになった。先発を1枚補充する必要があり、投手陣、そしてチームの精神的な支柱であるエースに白羽の矢が立った。

 中継ぎ投手陣の安定も先発復帰を後押しする。今季は越智、山口、西村健など若手リリーフ陣が成長している。3投手ともに40試合以上に登板するなど駒はそろっており、不安はない。クライマックスシリーズなどの短期決戦では、先発投手が勝敗を決める比重が高い。大一番では経験や実績のあるエースの存在は不可欠。残り40試合をきっての先発復帰は必然だった。チームは28日から、ロングリリーフのできる野間口をチームに帯同させ、万全の態勢を敷く。

 実は7月28日の広島戦で先発復帰するプランがあった。だが、五輪での起用法がクローザーと明言されていたため、調整が中途半端になることから見送る形となった。シーズン前から「今年は先発にこだわりたい」と話していたが、チーム、日本代表に迷惑をかけられないという気持ちから、自らの思いを封印した。今季はプロ生活10年目にして、初のファーム再調整も経験した。だが周囲の協力を支えによみがえった。北京五輪は4位に終わったが、2試合に登板し2回をパーフェクトに抑え、巨人に戻ってきた。

 自身の好調をチームにも生かす。残り34試合で首位阪神をとらえ逆転優勝するには、劇的な変化がチームに求められる。昨季はクローザーとして5年ぶりリーグ優勝に貢献。通算108勝右腕の復活劇が、奇跡を現実にする原動力となる。24日からの8連戦の後も、6連戦、9連戦とハードな日程が続く。リーグ連覇の救世主として、エースの真骨頂を見せる時がきた。※■(「火」へんに「華」)