<阪神6-5中日>◇28日◇甲子園

 中日が今季5度目のサヨナラ負けで勝率5割に逆戻りした。この日2番に入った中村紀が9回、阪神藤川から同点タイムリーを放ったが、その裏6番手高橋が林にサヨナラ中犠飛を許した。出場選手登録された野手16人のうち荒木が体調不良、和田が腰痛で欠場。「つぎはぎ打線」は李、ウッズの一発攻勢で食い下がったが最後は力負けした。4位広島に1ゲーム差に迫られ、29日から直接対決3連戦で3位の座を争う。

 本塁への返球が三塁側にそれて、オレ竜が力尽きた。同点の9回1死一、三塁。6番手高橋は、林にセンターへの犠牲フライを許した。今季5度目のサヨナラ負けに、選手たちは無表情でベンチに引きあげた。

 サヨナラ負けのきっかけとなった9回1死二塁の場面では、それまで4打数2安打4打点の金本が5打席目を迎えていた。一塁は空いていたが、落合監督は「あそこは勝負。敬遠?

 それはない」と話した。金本の右前打でピンチは広がった。打たれた高橋は「金本さんは勝負でした。それよりも先頭打者を出したのがもったいなかった」と悔やんだ。

 「藤川打ち」がせめての意地だった。1点ビハインドの9回。マウンドには北京五輪後初登板の藤川。代打立浪が154キロ内角直球を右前にはじき返し、口火を切った。1死二塁から中村紀がフォークをたたいて適時中前打。同点に追いついたが、最後は力の差を見せられた。

 苦しい布陣だった。この日は北京五輪帰りの荒木が体調不良で欠場。腰痛の和田も5試合連続欠場した。1軍登録の野手16人中、つなぎ役とポイントゲッターの2人が不在だった。荒木に代わる2番は中村紀で、14日広島戦以来3度目。北京五輪期間中の窮余の策を、五輪後もとらざるを得なかった。二塁には今季初めて森野が入った。内外野をこなす器用さが特長だが、五輪からの復帰3試合目、ぶっつけ本番の状態で守らざるをえなかった。

 貯金は再び「0」となり、借金生活の危機が訪れた。29日からは1ゲーム差の4位広島とナゴヤドームで3連戦を迎える。クライマックス・シリーズ出場権を死守するために、手負いのオレ竜が広島とのサバイバルマッチに挑む。【益田一弘】