<広島3-5阪神>◇6日◇広島
北京五輪の「悪夢」を振り払う熱投だった。メダルなき帰国から13日。猛虎の守護神藤川が、広島で息を吹き返した。同点で迎えた9回裏から登板。最初から全力投球だ。先頭シーボルを速球で詰まらせ、二飛に料理。東出も力勝負で圧倒し、平凡な遊ゴロに打ち取った。幸先のいいスタートを切ると今季最長となる2イニングを無失点。綱渡りリレーも、さらりとこなした。
「オレのことはどうでもいいよ。負けられんから。みんなそう思っている。こんなに負けると思っていなかったですから…」
大舞台から復帰した8月28日中日戦(甲子園)では、白星を挙げたものの1失点中8日のマウンドでようやくゼロを刻んだ。復帰2戦目で、気分一新の再発進だ。アッチソン、久保田も好救援。悩ましい連敗も止めて、阪神岡田監督は胸をなでおろした。
「球児と久保田が良かったね。アッチソンもな。ゼロに抑えたから、その結果よ。点を取られたら終わっている」
リリーフエースには“公約”がある。08年の開幕戦を前日に控えた3月27日。京セラドーム大阪の地下駐車場で、熱っぽく語った。
「明日の初戦を勝って144連勝かもね。1回も借金生活をすることなく、戦っていきたい。20勝が2人くらい出ればいいですね」
新井らが加入したチームの総合力アップに手応えを感じ、開幕ダッシュ、そして独走優勝すら予期した発言だった。その言葉通りにチームは序盤から快走するが、北京五輪期間中の不調も響き、8月は9勝11敗。今季初めて月間で負け越した。チームはスローダウン。正念場に立ち、立て直すためにも、守護神自らフル回転する覚悟だ。
昨季はこの時期に驚異的な猛追を見せ、自らの10連投で10連勝した。あれから1年。藤川の右腕は流れを大きく変えることができる。この日、引き揚げ際に言った。「(これまでは)嫌な負け方やったからね」。悪循環を断ち、流れを変える。Vへの流れを引き寄せる球児が光った。【酒井俊作】



