<広島3-5阪神>◇6日◇広島

 ホンマ、フラフラになりますな。たった1つの勝ちがこんなにしんどいとは。でも延長戦で粘る広島を下して連敗脱出ですわ。阪神新5番の鳥谷が決め、球児も踏ん張った。夜に巨人が神宮球場で負けてマジック22が復活です。12球団トップの70勝にも到達し、流れが変わるぞ~。

 笑った。延長12回、4時間35分の激闘を制した。8日ぶりに訪れた歓喜の輪。打順と同じく金本の後ろに続いて鳥谷がハイタッチを繰り返した。9月初勝利。連敗脱出。最後の最後、重い扉をこじ開けたのは若きリーダーの反骨心だった。

 「本当は10回の2アウト満塁で決めなきゃいけなかった。金本さんが敬遠されていたので何とかしたいと思っていた」

 屈辱の思いを2度も味わう訳にはいかなかった。3-3で迎えた延長10回。2死二、三塁で4番金本は敬遠気味の四球で歩かされた。満塁で守護神永川との対決。最後はフォークに手を出し二ゴロに倒れていた。

 延長12回。同じような場面が訪れた。2死三塁。今度は広島バッテリーは自信をもって金本を敬遠した。金本が二塁に進み二、三塁となった直後。ボールカウント2-1。4球続いたストレートをとらえ、三遊間を破った。決勝2点タイムリー。重苦しかった三塁ベンチからいっせいに、勝利確信の雄叫びが挙がった。

 沸々と燃え上がる闘志とともに打席に立った。早大時代から不動の3番。03年ドラフト自由枠で阪神入り。04年からレギュラーを任されるなど、エリート街道を歩んできた。2度続けて前の走者が歩かされることなど、自身の野球人生で経験のないことだ。

 「あんまりというか、たぶんないと思う。(12回も敬遠)だろうとは思っていたけど…」

 雨で流れた4日横浜戦からプロ初の5番に起用された。将来の主軸候補と言われ続けながら、首脳陣は5番を避けてきた。金本の後ろを打つ重圧を考え、段階を経ることを重視したためだ。昨年までは主軸に入っても3番どまり。だが立場は変わった。

 「きついのはきついけど金本の後は鳥谷しかおらん訳やから」。岡田監督は愛弟子の成長に目を細めた。前日5日に続く2安打2打点。先発5番としての打率は4割4分4厘(9打数4安打)と、堂々たる数字が残る。

 日々、自分のことが、精一杯だった05年優勝時とは違う。準備も、洞察力も、鋭さを増した。重たいメディシンボールを抱えてスイングチェック。下半身に負荷をかけ長丁場でも腰のキレを失わない工夫をしてきた。「試合前から初心に帰って盗塁をやっていこうと思っていた」。6回には2死二塁から意表を突く三盗を敢行。3点目につなげた。

 言動も違う。「投手が頑張っていたので野手が何とかしなければと思っていた。今日で終わらないよう明日も勝って甲子園に帰りたい」。打順に追いつくよう、精神的にも大きくなった。だからこそ、こうしてチームの窮地を救うことができた。そして点った優勝マジック22。もう消したくない。【片山善弘】