<広島2-4中日>◇21日◇広島

 中日が昨季王者の意地を見せた。初回、エンジンのかからない広島先発ルイスに襲いかかった。先頭の李が左前打で出ると、荒木が送って1死二塁。ここで3番森野は初球を中堅左に運んだ。わずか4球。あっという間の先制劇だった。さらにウッズが中堅右への適時二塁打で2点目を奪うと、続く和田が内角高めの直球を左翼へ14号2ラン。「何とかしたいと思っていました」。ここ2試合無安打だった5番打者は胸をなで下ろした。防御率リーグNO・1のルイスから打者5人で4点を奪った。

 同率3位で迎えた広島との直接対決に連敗。19日に4年4カ月ぶりの4位(開幕直後を除く)に後退し、20日にリーグ優勝も自力3位も消えた。落合監督は「悔しくないのかね。うちの連中は」と吐き捨てた。真価を問われていた。

 ウッズは初回、バットを短く持っていた。「握りが変わることはあるが、短く持ったのは初めて」。本塁打王3度の主砲がプライドをかなぐり捨てた。4-2と2点差に追い上げられた9回1死一、二塁の守りで、三塁森野は三遊間への打球に飛びつき、すぐ起き上がると二塁走者シーボルに猛然とタッチ。泥だらけのユニホームで「命がけ。みんな悔しいと思っている。でもそれだけじゃプロじゃない」と話した。全員が必死だった。

 落合監督はこの日、球場に入る前に言った。「(優勝が)なくなったんだろ。でも、まだシーズンは残っているんだから…」。失望している暇などない。3位広島と1ゲーム差。クライマックスシリーズ(CS)自力進出の可能性は消滅したままだが、まだ逆転の望みはある。【鈴木忠平】