<中日5−4横浜>◇27日◇ナゴヤドーム

 中日が今季6度目のサヨナラ勝ちで3位タイを死守した。初回に4点を先制されたがその裏ウッズの2点適時打で反撃。4回に代打井上、李の連続タイムリーで同点に追いついた。最後は4−4の9回2死満塁から和田一浩外野手(36)が押し出し四球を選んだ。連勝で16日以来の貯金「1」を記録し、クライマックスシリーズ(CS)進出マジックは残り8戦で「8」。厳しいサバイバルレースを最後までしのぎ切る。

 バットを持ったまま両拳を腰に2度引きつけた。和田は同点の9回2死満塁、サヨナラの押し出し四球を選んで派手なガッツポーズをさく裂させた。一塁に到達して両足を開いて両腕を上下させる。本塁打を放っても無表情でベースを回る36歳が喜びを爆発させた。

 「地味に決めましたね、地味に。投手がつないで、打線がつないで、たまたま僕のところでいい場面がきた。いつも以上にどうにかしないとと思っていた」

 味方の執念に奮い立った。初回の4点ビハインドを4回に追いつく。投手陣は2回以降、横浜をわずか1安打に抑えた。9回の攻撃は谷繁、代打立浪の連続安打と李の四球で満塁となった。打撃不振の和田は「中途半端な、バットを振れない自分を捨てた。落合監督にも指摘されていた。あんな場面でゴチャゴチャ考えてもしかたない」。山口との全9球の対決でバットを5回振ったが、すべてが体のバランスを崩すほどの豪快なフルスイングだった。

 前夜、テレビの中でかつての仲間が歓喜のビールかけに酔っていた。前日26日に11年間在籍した古巣西武がパ・リーグ優勝を決めた。「試合は見ていないんです。ニュースの映像ぐらい」。祝福の電話もメールもしなかった。昨年12月の中日入団会見では「優勝できるチームに入ったので優勝したい。日本一になることが目標」と言った。しかしセ・リーグ優勝が消滅して、現在はCS出場権を争う立場。かつての仲間たちを思う余裕はなかった。

 CSに出場すれば、古巣西武とも日本一を争う可能性も残される。和田は言う。「(CSの)ルールがある以上、チャンスがある。まだあきらめていない。残りは少ないし、1勝の重みは大きくなる。残り8試合は全部勝つもりでやるしかない」。同率3位の広島も同じく残り8試合という生き残りマッチを勝ち抜く。【益田一弘】