阪神岡田彰布監督(50)が、今季限りで辞任することが11日、確実になった。12日の今季最終戦(対中日)を前に南信男球団社長(53)と緊急会談に臨むが、すでに辞意を球団側に伝えたことが判明。クライマックスシリーズ(CS)、突破した場合は日本シリーズまで指揮は執るという。最大13ゲーム差を逆転されたV逸の責任を重く受け止めており、辞任の意思は固い。球団も慰留は困難と判断しており、後任人事に着手せざるを得ない状況となった。

 岡田監督が今季限りでユニホームを脱ぐ決意を固めた。前日10日、横浜に敗れて、まさかのV逸。最大13ゲーム差をつけたライバル巨人に逆転された無力感と、監督在任5シーズンの疲労が重なった。V逸の責任の取り方として「進退伺」ではなく、辞任することを決断。この日までに球団側に意向を伝えた。

 この日の横浜戦の前には、ナインやコーチ陣など現場のユニホーム組にも辞意を伝えたもようだ。試合では新人石川を先発させ、来季以降につながる経験を積ませた。主力組を休養させる一方、打率3割に近い関本や盗塁王のタイトルを狙う赤星の起用に配慮しながら、通常のゲームと変わらずに采配を振るった。

 けじめとして18日から始まる3位中日とのCSでも指揮を執る。だが、元来からリーグ戦を重視して、昨季から導入されたCSには価値を見いだしていない。仮に日本シリーズまで勝ち進み、球団では85年以来となる日本一になったとしても、それを花道として辞任する考えだ。

 球団としては、CSと同時進行で後任監督の選定作業に着手せざるを得ない状況となった。12日、南信男球団社長(53)がスカイマークで会談する。当初は今季の健闘をねぎらう場で、同監督が「進退伺」を出した場合も受理しない構えだった。だが、同監督の辞意がすでに伝わっており、その意志が固く、説得が困難であるとの報告も入っている。

 チームは開幕ダッシュに成功し、3年ぶりのV奪回が確実視された。岡田監督は今季で2年契約が終了することもあり、球団は6月までに来季続投の方向性を固め、坂井信也オーナーが非公式ながら続投要請を行っていた。

 球団内では岡田監督の意向もくむ形でドラフトや新外国人補強など来季に向けての準備を進めていた。まさかのV逸が、監督辞任にまで発展し、多方面で来季構想への影響は免れない。いずれにせよ、CSと日本シリーズで、岡田監督が縦じまを脱ぐことになる。