真弓明信氏(日刊スポーツ評論家)に監督就任を要請する阪神は17日までに来季組閣に着手した。コーチ陣のまとめ役として木戸克彦作戦兼バッテリーコーチ(47)を1軍ヘッドコーチに昇格させる案を固めた。また課題の打撃力向上に球団OBで、現役時代は「代打の神様」と呼ばれた八木裕氏(43=野球評論家)の招へいを検討。新監督の擁立と並行し、投打の各部門で配置転換を含めて調整を図り、来季陣容を固める。

 「真弓新監督」の誕生に向けて、阪神が来季のコーチ人事をスタートさせた。まずは今季不在だった「ヘッドコーチ」を復活させる方針に沿い、木戸作戦兼バッテリーコーチを昇格させるプランが固まった。

 新監督候補を真弓氏に一本化したことで、コーチ人事も動きだした。真弓氏は評論活動でチームに接する機会こそ多かったが、現場復帰となれば近鉄を退団した04年以来となる。チームの現状をよく知る現行スタッフと新監督を結ぶパイプ役は必要不可欠で、木戸コーチが適任と判断した。

 南球団社長はこの日「スタッフとかそういう話もしないといけないが、今は水面下でのこと。新監督の意向も聞かないといけないし(新監督)発表時に陣容がそろわないこともある」と話した。「オーナーマター」である新監督の擁立と並行し、候補者と協議を重ねながら球団主導でコーチ人事を進める。きょうから始まるクライマックスシリーズの進行にも配慮しながら、組閣作業に急ピッチで取り組む。

 シーズン中から球団は、岡田監督の続投を前提に来季スタッフの見直しに迫られていた。ヘッドコーチの再設置はその一環。さらに投打の両部門でスタッフのてこ入れを検討していた。こちらも新監督の意向を優先しながらの作業となるが、打撃力向上の切り札として名前が挙がるのが、球団OBの八木氏だ。

 90年代に4番を務め、晩年は真弓氏から「代打の神様」の称号を引き継いだ。八木氏は04年に引退後は評論家に転身。阪神の試合を中心に評論を行っていて、チームの内情に詳しい。現在43歳という若さでもあり、レギュラー陣の中には同時期にプレーした選手も数多い。コーチとして入閣しても「兄貴分」の存在として接することができる。

 今季は打撃コーチ専任が広沢コーチ1人で、吉竹チーフ野手コーチがサポートする形で打撃を担当した。特に新井と矢野が北京五輪に派遣された8月以降は得点力不足が顕著となり、シーズン終盤まで立て直せなかったことが、V逸の大きな要因となった。元来、打撃部門は2人制をとってきたこともあり、来季はコーチ増員を検討。外部招聘(しょうへい)を図る際は八木氏が筆頭候補となる。

 また投手、守備部門でも現行スタッフの配置転換を施し、体制強化を図る方針だ。復活するヘッドコーチに木戸コーチを据え、阪神が来季スタッフのラインアップを調整する。