阪神坂井信也オーナー(60=電鉄本社社長)が、23日に真弓明信氏(日刊スポーツ評論家=55)と会い、監督就任を要請することが、22日に明らかになった。真弓氏が受諾した後は、日本シリーズ(11月1日開幕)前の正式発表に向けて、来季構想、コーチ人事などをつめていく。その真弓氏はこの日、解説者として訪れる24日、27日のクライマックス・シリーズ(CS)第2ステージの巨人中日戦(東京ドーム)で、来季に向けて巨人打線攻略法を探る考えを明らかにした。

 宿敵2チームが目の前で死闘を繰り広げる。戦力分析には持ってこいの機会。真弓氏は監督就任後をみすえ、早くも強力G打線の分析に取り組む。

 真弓氏

 タイプ的に中日の方が(阪神と)似ている。中日のピッチャーが強力打線をどれくらい抑えられるかを見ようと思う。(狭い)東京ドームでやることもあって、ホームランを警戒した配球になるだろう。逆に、そういう攻め方をして逆方向に打たれるかもしれないしね。

 巨人と中日によるCS第2ステージがこの日、開幕した。真弓氏はラジオ解説者として24日の第3戦、27日の第6戦で東京ドームを訪れる予定になっている。ここ数年、阪神と優勝を争い続けている2チームの決戦。まだ球団から連絡がないとは言え、今日にも新監督就任要請を受けることが確実な情勢の中、新指揮官として両チームに鋭い視線を送る。

 真弓氏

 もし、タイガースのユニホームを着ることになれば、スポーツニュースとか、デーゲームとナイターで試合が別々にならない限り(巨人中日戦は)見られないからね。阪神とともに優勝にかかわってくる2チームになる?

 自然とそういう見方になるかもしれない。

 今季は、最大13ゲーム差をつけた巨人に土壇場でひっくり返された。世紀のV逸を導いたのが、9月19日~21日の直接対決3連敗だ。この東京ドーム3連戦で、阪神投手陣は実に8被弾を食らっていた。悪夢は脳裏に焼きついている。目指す野球は「守り勝つ野球」。来季も同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。危機感を抱く新指揮官は、中日投手陣を虎投に見立て、G倒の“予習”をひと足早くスタートさせる。

 現在の心境を問われた真弓氏は「今のところ、(監督就任について)あまり考えていません。取り越し苦労にならないようにしています」と、冗談交じりにはぐらかした。だが、そんな言葉とは裏腹に、着々と準備を進める構え。猛虎の新指揮官が、間もなく戦闘モードに入る。【佐井陽介】