初日から全開、真弓監督が桜井に付きっきり2時間の熱烈指導!

 阪神の秋季キャンプが3日、安芸で始まり、真弓明信新監督(55)は「72」番のタテジマのユニホーム姿を初めて公開した。ただのお披露目に止まらず、ブルペン、メーン球場と精力的に動き回った。大砲復活を期待する桜井広大外野手(25)に密着すると、2時間に渡って打撃指導を展開した。

 真弓監督は止まらなかった。桜井がこもる打撃ケージに張り付くと、ひと言、ふた言と言葉を投げかけた。打球を目で追うと、今度は身ぶり手ぶりを加えてアドバイスを送る。桜井がスイングをする度に、キャンプ初日のタテジマ初指導は熱を帯びていった。

 真弓監督

 目についたというか、普通に力を出してくれれば球は飛びますから。打ち損じているのが多かったようなので。桜井だけでなく、若手にはみんな期待している。投手の方は教えることがないですし。

 桜井は07年に2割8分1厘、9本塁打、43打点を挙げて売り出したが、今季はわずか5安打、本塁打なしに終わった。ホープの再生。密着した時間の長さと密度の濃さが、監督の期待の表れだった。フリー打撃から始まった真弓教室は、メニューがロングティー打撃に移っても続いた。フェンスをギリギリ超えていた打球がスタンド後方まで伸び、最後は防球ネットの上部を揺らすようになった。

 まだ終わらない。個別練習の特打に入っても、真弓監督は桜井の背中を追った。3連続の場外を含むサク越えの量産に、納得したようにうなずいた。桜井がスローイング練習に移行すると、いったんはベンチで休んでいたが、腰を上げて送球のアドバイスまで授けた。最初の声掛けから、2時間に及ぶマンツーマンレッスンだった。

 真弓監督

 ポイントが体に近くて苦しい打撃だった。バットが遠回りしないよう、体の近くを通るように意識させてね。上体が強いから頼ってしまうところもある。下(半身)の使い方も言った。早い時期に課題をやっておいたらいいかなと。

 熱いうちに、鉄を打った。打ったら、とことん打ち込むのが真弓流のようだ。ソフトな語り口で、染みこむように選手の矯正点をあぶり出す指導。桜井は「わかりやすい。ポイント、ポイントを言ってもらった。自分のいいとき、悪いときがよく分かった」と目を輝かせた。

 いきなりの全開モードに真弓監督は「いや、あまり熱は入ってないけどね。遠慮して、コーチに任せてますから」と照れた。グラウンド滞在約7時間、朝の散歩から9時間以上も、真弓新監督は熱血指揮官としてキャンプ初日を過ごした。【町田達彦】