<日本シリーズ:巨人2-3西武>◇第7戦◇9日◇東京ドーム

 シリーズ7試合連続安打で2盗塁と足でかき回した片岡易之内野手(25)、左脇腹痛を押し強行出場を続けた中島裕之内野手(26)が最後までチームを引っ張って日本一に貢献した。

 西武片岡の“足”が、逆転日本一への扉をこじ開けた。1点を追う8回だった。先頭打者として、左腕に死球を受けるとガッツポーズで出塁した。「盗塁の失敗?

 考えますけど、そんなこと気にしてたら何もできなくなる。試合の流れが停滞してたんで、絶対に行こうと思った」。続く栗山の初球。思い切りよくスタートを切ってシリーズ5個目の盗塁を成功させた。

 送りバントで三塁へ進むと、打った瞬間に走りだす「ギャンブルスタート」のサインに、武者震いした。「ナカジ(中島)は初球打ちが多いから、準備してました」。中島は三ゴロ。バットに当たる瞬間に、もうトップスピードに入っていた。巨人内野陣の極端な前進守備も意味をなさない。悠々と同点のホームを陥れた。

 全7試合で安打を放ち、5度試みた盗塁もすべて成功。MVPにも、優秀選手にも名前はなかったが「陰のMVP」とも言える大暴れで、日本一に貢献した。「このシリーズ、待てのサインは1度も出なかった。監督のおかげでシーズン中と同じように思い切りプレーできた。監督を男にできたことが何よりうれしい」。片岡は誇らしげに胸を張った。【広瀬雷太】