広島高橋建投手(39)が11日、FA権を行使しての大リーグ挑戦を表明した。13日に広島市内の球団事務所でFA申請の手続きを行う。メッツ、カブス、パドレス、ジャイアンツなど10球団が興味を示しており、争奪戦になることは必至だ。中でもメッツが最有力で、4、5番手の先発として評価しているようだ。すでにメッツのヨハン・サンタナ投手らを手がけるPEG社と代理人契約を結んだ。来年4月16日で40歳。史上最年長でメジャーに挑戦するベテラン左腕の移籍先が注目される。

 高橋はこの日、広島の大野練習場で、FA権行使を明言し、メジャー挑戦の意向を明かした。10日の夜、球団に電話で伝えたという。

 高橋

 希望は米国。見当もつかない世界。だからこそ挑戦したい。いろんな思いがあって悩みました。一番は家族のこと。上の娘も高校受験だし、下の娘は中1。(米挑戦の)話しはずっと以前から家族としていた。答えはいつも「頑張って来て」と言ってくれた。(FAを取得した)04年から常に心の片隅にあった。自分が左投手ということもあって、有利だと思っていました。

 すっきりした表情で話す左腕の争奪戦が、これから始まる。興味を示しているのは10球団。メッツは先発、リリーフどちらもできる万能型として注目しており、投球術も高く評価。4、5番手の先発候補として獲得に乗り出すことが有力だ。2年前から高橋を追いかけているカブスも熱視線を送る。「メジャーで通用する。基本は中継ぎ、緊急時には5番目の先発として考えている」(カ軍スカウト)と話しており、思い入れの強さがうかがえる。

 関係者によれば、高橋自身は西海岸、東海岸などにこだわりはなく、唯一こだわっているのが「先発」だという。現時点では先発として評価が高いメッツが最有力と見られる。いずれの球団にせよ、年俸は単年で推定4億円程度になるともいわれ、今季年俸4000万円から10倍に跳ね上がる見込みだ。

 高橋は04年にFA権を取得。以来常にメジャー挑戦を視野に入れてきた。昨年まで同じチームだった黒田(ドジャース)や、同じ左腕の岡島(レッドソックス)の活躍に刺激を受けた。昨季途中に、38歳で先発復帰。以来2年間先発としてシーズンを過ごしたことも自信になった。

 05年には左ひざを手術し未勝利。一時は引退も考えたが、06年は中継ぎで54試合に登板。昨季は先発で5勝、今季は8勝を挙げた。「シュート系の球は(米でも)大きな武器になると思う。とりあえず目標は1勝。決断できたことが何より僕にとっては大きい」と笑った。

 来年4月に40歳を迎える。06年オフにパイレーツと契約し、07年に39歳でメジャーデビューを果たした桑田真澄を上回る史上最年長のメジャー挑戦だ。「桑田さんは、カッコよかったですね」。来年、40歳でメジャーデビューを果たせば、“日本人最年長メジャーデビュー”の記録も更新する。メッツは今季ア・リーグ東地区で2位に甘んじ、プレーオフ出場を逃した。新球場元年となる来季は06年以来の地区優勝はもちろんワールドシリーズ制覇を狙う。メジャー屈指の人気チームで、不惑の左腕がマウンドに立つ姿が見られるかもしれない。