選手会も、田沢問題ではルールが必要。労組日本プロ野球選手会が4日、大阪市内のホテルで選手会総会を開催し、日本プロ野球組織(NPB)が決めたアマチュア選手の海外流出防止策について話し合われた。NPBは新日本石油ENEOS・田沢純一投手(22)の大リーグ挑戦表明を受け、日本に戻る場合は一定期間、NPB球団と契約できないとしたが、選手会では「2年も自由もだめ」という意見で一致した。他の規則を議論していく。また宮本慎也会長(38=ヤクルト)に代わり、第7代会長に新井貴浩副会長(31=阪神)が選出された。

 退任の決まっている宮本会長が選手会総会で議題となった「田沢問題」について触れた。「選手生命を考えても2年間契約できないというのはダメなんじゃないかと。だからといって自由というわけにもいかないでしょうし、何らかの規則は必要だろうという意見で一致した」。2年も無条件もノー。規則の必要性に初めて言及した。

 NPBは新日本石油ENEOS・田沢投手の大リーグ挑戦表明を受け、ドラフト指名を拒否した選手が外国のプロチームでプレーしてから日本に戻ってきた場合、社会人なら2年間、高校生なら3年間、契約できないことを決めた。だが2年以上日本でプレーできなければ、事実上永続的に機会を奪う可能性がある。だが、メジャー帰りの選手がプロ野球を盛り上げている一方で、アマの有望選手の海外流出を自由に認めればプロ野球の空洞化を促進しかねない危機感を経営者側だけでなく選手会も感じている。

 宮本会長は「ある程度(具体案)は出ているが、どれがベストかは分からない。いろいろ検討してNPBと話し合いたい」と戸惑いながら話した。FA取得期間が長いこともリンクさせて問題視。田沢がメジャーで成功するかどうかも影響してくる。他の議題としては、国内FAを行使した選手のポスティングシステム(入札制度)利用の制限などについても意見交換が行われた。

 今後は新井新会長が選手会をけん引する。宮本会長に花束を贈り「宮本会長が築き上げた対話路線で、経営者側と対話を進めていきたい」と決意を表した。3年の大役を終えた宮本会長は「球界をよくしたいという気持ちで動いてきた。できるだけ(新体制を)バックアップしたい」と言った。取り組むべき課題は多い。新井新会長は「すべての問題はリンクしていると感じる。子どもたちに、プロ野球がいいなと思ってもらえるようにしないといけない」と考えている。「田沢問題」への対応が、新会長を迎える選手会の試金石になりそうだ。