<ソフトバンク1-9日本ハム>◇10日◇福岡ヤフードーム

 震え上がったのは相手だけではなかった。金子誠内野手(33)が本塁を踏むなり、両手で互いの腕を抱えるように寒がった。ベンチでは仲間から額を触られ、熱も測られた。「びっくりして鳥肌が立って寒かった。26年間の野球人生でバックスクリーンは初めて」。強烈な6回の決勝弾だった。

 ソフトバンクの天敵和田からだった。1ボールから、見逃せばボール気味の低めの直球をたたき上げた。打球は無人の中堅バックスクリーンに一直線。「直球が走っていたので1、2の3ではまった」という大量点の口火となる今季2号ソロ。場内が静まりかえるほどの一撃だった。

 対和田の散々な対戦成績にも驚きが隠れている。最後の安打は06年9月27日で、昨季までの3年間も通算22打数1安打だった。梨田監督が「右打ちやセフティー(バント)のサインでも出そうと考えていたら」と話したほどだったが、開幕から6試合連続安打の絶好調男はそんな過去も一掃した。

 開幕から8試合目で初安打の昨季とは大違い。最近は、首位打者に名前が記載された日刊スポーツなどスポーツ紙の打率欄の切り抜きがひそかな日課だ。「これからドンドン(打率が)下がるから、どんな風に下がるか見るのもね」。自虐的なセリフもどこか明るかった。

 同位置の二岡が加入したが、開幕から3番稲葉4番スレッジとともに不動の9番に座る。昨季は1度しかなかった猛打賞がこの日で早くも今季2度目。「要因?

 何でいいのか分からないから続かないよ。春の珍事と書いておいてよ」。打点も10になった金子誠は、ただいま2冠王だ。【村上秀明】

 [2009年4月11日9時48分

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