<中日2-3楽天>◇27日◇ナゴヤドーム

 オレ竜がわずか2日で「借金生活」に逆戻りだ。楽天1回戦(ナゴヤドーム)は2-2の同点の8回、昨季まで在籍した中村紀に勝ち越しタイムリーを許すと、その裏の無死満塁のチャンスでは李、藤井、立浪が凡退して万事休す。25日の日本ハム戦に勝って、1カ月ぶりに勝率を5割に戻したが、またも「借金」を背負うことになってしまった。

 「何もないから帰るわ。選手に聞いて!」。敗戦後、報道陣の待つ会見場に入ってきた落合監督はそれだけ言うと、くるりと背中を向けてロッカーへ戻っていった。その間わずか5秒。それほどストレスのたまる試合だった。

 ナゴヤドームにファンのため息が充満したのは2-2で迎えた8回だった。まず、2番手でマウンドに上がった高橋が2死二塁から中村紀に勝ち越しの右前適時打を浴びた。フルカウントから谷繁の構えは内角低め。だが、投じた直球はまったく逆の外角高めへ。昨季までチームメートだった中村紀のヒットゾーン。まさに痛恨の1球だった。

 ストレスが最高潮に達したのは、その裏の攻撃だった。楽天先発田中の後を受けたリリーフ陣から森野、ブランコが連続ヒット、和田が四球を選んで無死満塁と絶好機をつくった。ところが、野村監督が送り出した左腕有銘に対して李がボール球のスライダーに手を出して空振り三振、続く藤井もスライダーにタイミングが合わず空振り三振。2死から代打・立浪に期待をかけたが、投ゴロで無得点に終わった。「最後の打席は外野フライでも、と思っていたんだけど…。チャンスで打てなくてチームに申し訳ない」。李は満塁のチャンスで犠飛すら打ち上げられなかったことを猛省した。

 落合監督は25日に李を2軍から初昇格させた。「これで構想通りになった。尻に火がつくだろう」。李の存在が藤井らに刺激を与えて、打線活性化につながるはずだったが、この日はその2人が流れを止めた。勝機があっただけに悔しさは倍になる。試合後のドームでは、皮肉にも楽天で勝負強さを見せつける中村紀のヒーローインタビューがこだましていた。【鈴木忠平】

 [2009年5月28日12時24分

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