<西武4-3阪神>◇10日◇西武ドーム

 サヨナラの歓喜の輪ができた一塁ベース付近に、西武涌井秀章投手(22)が駆け込んだ。9回1死満塁。代打大崎雄太朗(24)の押し出し四球で、141球の熱投が報われた。パのハーラートップタイの7勝目は、チームに4月21日以来となる待望の貯金1をもたらした。それでも涌井は「まだ6月なんで」と興奮は胸の内にしまい、試合後は控えめに喜びを表現した。

 感覚が研ぎ澄まされていた。3回までに3失点したが「1足分、インステップになっていた」と異変に気づき、微調整を開始した。心配して捕手の銀仁朗がマウンドに駆け寄ると「いま修正しているから、もうちょっと待って」と追い返した。本来のフォームを取り戻した中盤以降、直球が走りだした。同点の8回に無死一塁でクリーンアップを迎えたが、1回に被弾した新井を二ゴロ。金本、桧山には力勝負で連続三振。最後はこの日最速の146キロ速球で空振りさせた。

 昨年同僚だったブラゼルには徹底した内角攻めでバットをへし折るなど、仕事をさせなかった。今季4度目の完投で、5安打3失点の10奪三振。渡辺監督が「延長なら降板だったけど、10回も自分で投げるくらいの気持ちを感じた」というほど頼もしかった。それでも22歳の表情に満足感はない。7勝のハーラートップで並ぶ日本ハム・ダルビッシュ、楽天田中、同僚の岸に、球宴ファン投票で大きく水をあけられていることに納得がいかない。リーグトップ79奪三振だけではなく、勝ち星でも人気でも譲れない。飽くなき向上心が、涌井を駆り立てる。【柴田猛夫】

 [2009年6月11日9時25分

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