キターッ!
マツダスタジアム初のサヨナラ劇だ。楽天戦の延長10回裏、石原慶幸捕手(29)が、サヨナラ弾を右翼スタンドへ突き刺した。同スタジアム最多3万2206人が、その劇的瞬間を見届けた。投げてはここ2試合KO続きだった大竹寛投手(26)が8回を2失点の好投。勝率5割にも復帰し、劇勝の余韻をさらなる勝利につなげてゆく。
ガッツポーズは自然と出た。延長10回裏、先頭打者として打席に入ると初球、いきなりセーフティーバントを敢行した。「なんとかして塁に出たい」。その一心だったが、失敗に終わり、あっという間に楽天青山にカウント2-0と追い込まれた。「もう食らいついていくしかない」。無我夢中で次の3球目を打ち抜いた。打球は舞い上がって、カープファンでぎっしり埋まった右翼スタンドへ飛び込んだ。
今季4号アーチは、劇的なサヨナラ弾。しかも、今季初…つまり新球場マツダスタジアムでの初サヨナラ勝利だった。石原にとっても05年8月2日巨人戦以来、2度目の殊勲弾。出迎えた仲間にもみくちゃにされ、はちきれんばかりの笑顔を見せた石原は、お立ち台で叫んだ。
「ホームランはできすぎです。ファンのみなさんの後押しで入ったホームランです!
本当に勝ててよかった。うれしいの一言です」
打った球種も覚えていない無心の一振り。同球場最多の3万2206人で埋まった空間で、劇的勝利をファンと分かち合えたことがうれしかった。
レギュラー捕手として好調な広島投手陣を支えるが、開幕前にWBCに参加。控え捕手として出番は限られた。開幕直前のオープン戦では好調な打撃を披露してブランクを感じさせなかったが、開幕後は極度の打撃不振に陥った。
打率はこの日試合前には2割1厘。セ・リーグの規定打席到達打者の中では最も低い31番目。「そんなに力がある選手だとは思っていない。とにかく必死にやることがいいことだと思っている」と、どこまでも謙虚だが、打てない時期には焦りもした。この日も7回、逆転機で併殺打。その間に入った1点で同点としたが、頑張る投手陣をバットで援護できないもどかしさもあった。
ようやく自身のバットでチームの連敗も3で止めた。自身の打撃については「たまたま打てただけです」といつも同じセリフを繰り返す。「投手陣にお返しができた?
いや、まだまだです!」と笑った。扇の要の劇弾で、チームは再び勝率5割。コイは再び上昇する。【高垣
誠】
[2009年6月19日10時39分
紙面から]ソーシャルブックマーク




