<中日3-4巨人>◇3日◇ナゴヤドーム

 ガッツでガツン。巨人の小笠原道大内野手(35)が6試合ぶりの17号決勝ソロで上り調子の中日をたたいた。3-3の8回、先頭の小笠原が勝ち越し本塁打を右翼スタンドにたたき込んだ。巨人はナゴヤドームで今季4戦全勝と無敵で、貯金を今季最多21まで増やした。2位ヤクルトが負けたために再び5・5ゲーム差となり独走態勢に入りつつある。

 巨人小笠原は「頭の中が真っ白だった」。同点の8回、先頭打者だった。「無というか、集中というか…」。いいようのない精神状態から生まれた17号ソロは「芯は芯、だったが。覚えていない」。決勝アーチの記憶は、試合が終わっても抜けたままだった。

 本人は覚えてなくとも、目撃した誰もが息をのむ本塁打だった。中日の左サイドハンド・小林正が投じた2球目だった。スライダーが、外角低めいっぱいに曲がり切ったところ。左打者にとって最も困難なボールを美しい放物線に変えた。初球のスライダーをファウル後、打席を外した。上体を回してから、バットのグリップを遅らせて2、3度出し素振りした。「軌道を見ることができた?

 まったくない、わけではない」。体を開かず引き付けて打つ。確認作業の直後、左ひざを地面すれすれまで折り曲げ満を持し、初球より厳しい勝負球を迎え撃った。

 コンディションの良さが引き出した芸当だ。小笠原は今年、試合後東京ドームから引き揚げる時間が30分ほど早くなった。「そんなことないよ」と意に介さないが、真っ暗な通路を1人歩くのが、巨人の1日の終わりだった。白坂トレーニングコーチは「ケアの時間が短くなったのは、ひざの状態がいい証拠」。卓越した技術と支える土台がシンクロし、値千金の1発は生まれた。

 今季ナゴヤドームでの成績を15打数7安打、打率4割6分7厘とした。「終わったことに関して(感情を)残していないので」。“ナゴヤの鬼”は興味なかった。ただこのゲームを取ったことについては納得いった。「3連戦の初戦を取れたことが大きい」と、好調中日の出はなをくじいたことには相好を崩した。

 原監督も「非常に大きいホームランでした。初戦を勝ってアドバンテージを取れることは大きい」と言葉を重ねた。かつて鬼門だったナゴヤドームは今季4戦4勝。貯金を今季最多の21とし中日とのゲーム差は7・5。重いゲーム展開をガッツのひと振りが振り払うと、景気のいい数字ばかりが並んでいた。【宮下敬至】

 [2009年7月4日8時16分

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