<横浜3-6中日>◇19日◇横浜

 これで文句あるか。中日トニ・ブランコ内野手(28)が横浜12回戦の5回、左翼場外まで飛ばす特大27号2ランを放った。4回に中堅フェンス最上部に当たってバックスクリーンで跳ね返ったように見えた打球を二塁打と判定されたが、次の打席で5連勝を引き寄せる150メートルアーチをかけた。開幕から負け知らずの先発川井雄太投手(29)がハーラートップに並ぶ10勝目を挙げた。首位巨人が阪神に敗れたため、中日が3・5ゲーム差にまで迫った。

 胸にたまったうっぷんをパワーに変えた。5回2死一塁、ブランコが横浜先発グリンのストレートを打ち砕いた。横浜の夜空を切り裂く弾丸ライナーは左翼最上段の看板も飛び越え、照明灯の柱に当たると闇へと消えていった。推定飛距離150メートルの場外弾。2試合連続の27号2ランで4-0と突き放し、勝利をほぼ手中にした。ブランコは「前の打席で入ったと思ったのが、ホームランにならなかったから。見返してやろうと思っていた」と試合後も怒ったような表情だった。

 問題のシーンは4回の第2打席だった。グリンの直球をとらえた打球は、中堅フェンス最上部に当たってバックスクリーンで跳ね返りグラウンド内に戻ってきたように見えたが、二塁塁審はフェンス最上部に当たって跳ね返ったと判定。ブランコは二塁ベース上で両手を広げて抗議。落合監督もベンチを飛び出したが、約5分間の抗議も認められることはなかった。

 中堅左の最前列で観戦していた名古屋市在住の森綾乃さん(20=会社員)は「フェンスの一番上の黄色い部分に当たって、グラウンドに跳ね返りました」という。この中日ファンの証言通りなら本塁打ではない。ただ微妙な判定であったのは間違いない。

 「しっかりしたホームランを打てばホームランと認められるわけだから、思い切り振ってやろうと思っていたさ」。“打ち直し”の一打は、誰も異論を挟めない完ぺきな本塁打だった。

 前日の横浜戦では相手捕手(新沼)を病院送りにする猛タックルで勝負を決める2点目をもぎとり、この日は場外弾。横浜戦8連勝で、首位巨人とは3・5差。とどまるところを知らないブランコのパワーが首位奪取への推進力だ。【鈴木忠平】

 [2009年7月20日8時35分

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