<ヤクルト6-2広島>◇28日◇神宮

 勝利の余韻に浸っている暇はなかった。今季9勝目を挙げたヤクルト石川雅規投手(29)は、ドーピング検査室に閉じこもったままだった。採尿が終わらず、試合終了後は約2時間も悪戦苦闘し、1度はクラブハウスに戻り、再び検査室へ。「相手の投手が粘り強いピッチングをしていたので、負けないように投げました」と試合後のヒーローインタビューで話したが“粘り勝負”は、試合の後も続いてしまった。

 試合後の“苦闘ぶり”がウソのように、マウンドでは軽快だった。広島相手に8回5安打で2失点。「1発が出る打線なので、走者をためないように気をつけました」と話すように、無四球のおまけ付き。「先に点を取ってもらって、完投しなきゃけいなかった。でも、最近は思ったところに投げられています。(8回の)ホームランがなければ完投できたでしょう」と反省のコメントも忘れなかった。

 オールスター期間だった24日に64歳の誕生日を迎えた高田監督は、誕生日後の初試合で会心の勝利。「(後半戦は)いいかたちでスタートが切れたね。石川がよかったね」とご満悦。4位の広島をたたき、クライマックスシリーズ出場に向けて、また1歩前進した。【小島信行】

 [2009年7月29日8時42分

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