<ロッテ0-1西武>◇11日◇千葉マリン

 西武涌井秀章投手(23)が今季3度目の完封劇を演じ、日本ハム・ダルビッシュと並んでハーラートップ13勝目を挙げた。初回の3者連続から圧巻の奪三振ショー。最速148キロの速球とフォークがさえ自己最多13三振を奪い、通算147奪三振はリーグトップに躍り出た。得意のロッテ戦は今季4戦4勝で1-0のスコアでの完封は、自己初で西武では05年西口以来。最多勝タイトルと逆転連覇へ、負けられないエースが161球の力投でこたえた。

 千葉マリンの風が、いつも以上に心地よかった。161球目に、自己最多13個目の三振を奪った涌井が、白い歯を見せた。シンプルな数字が並んだスコアボードを見て、ようやく緊張感から解放された。1-0で完封。「気持ちいいが3、疲れるが7ですね」。投手の醍醐味(だいごみ)を味わった満足感を、独特の言い回しで表現した。

 お得意さまのロッテを5安打に抑えた。蒸し暑いマウンドで、ペース配分も絶妙だった。「1点勝負とわかってたんで、あそこはギアを入れていきました」と振り返った。7回1死一、三塁のピンチ。打席の根元には、銀仁朗捕手のサインに首を振って、内角直球を続けて勝負。強気の146キロ直球で、空振り三振にとった。四球で2死満塁とピンチを広げても、竹原を初球のフォークで二ゴロ。ここぞの場面に温存した力を爆発させた。

 痛快な奪三振ショーも演じた。1回の3者連続からスタートし、2回までアウト6つすべてを三振。中盤は一転して打たせてとる投球で「抜くところ、力の入れるところを考えて、7回からは狙って三振をとりにいきました」。終盤の3イニングで5つを奪い、自己最多13三振で完封に花を添えた。

 宝刀フォークが完全復活した。ここ最近は落ちが悪く、見せ球にしか使っていなかった。「千葉マリンの風が助けてくれた」と独特の風を味方につけ、鋭い落差が戻った。ロッテ打線の打ち気を逆に利用したフォーク攻めが、最速148キロの直球をより生かした。決め球の使用頻度が少なかった7月に月間MVPを受賞するあたりに、今年の好調がうかがえる。

 13勝目を挙げ、勝ち星でライバルのダルビッシュに追いついた。負けず嫌いな性分は、野球を離れても一緒だ。球宴明けに遠征した岩手・盛岡で、名物わんこそばに挑戦。投手陣4人で勝負した結果、帆足と並んで89杯をたいらげ、小野寺、岸と続いた。15杯で1人前といわれており、約6人前を食べた計算。リードした帆足を、涌井がどとうの追い上げを見せた。勝負ごととなれば、どんなことでも勝たないと気が済まない。

 後半戦開幕戦では首位日本ハムに敗れただけに、すぐに修正してエースの輝きを取り戻した。「前回が情けなかったんで、絶対に勝つつもりでいました。厳しい戦いを乗り越えたので、明日から大丈夫だと思います」。逆転連覇へ、もう勝ち続けるしかないチームにも、勢いをつける白星だった。【柴田猛夫】

 [2009年8月12日8時31分

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