<中日2-8阪神>◇27日◇ナゴヤドーム

 クライマックス・シリーズ進出をかける阪神真弓明信監督(56)が、切り札を出してきた。今季初、中4日で岩田稔投手(25)を先発に起用。中日キラーの左腕は期待にこたえ、7回4安打無失点で、これで中日戦3連勝となった。打っては5回に狩野恵輔捕手(26)がチーム今季初の満塁弾を左翼席にたたきこむなど、大量8点を奪取。ヤクルトが勝ったため、0・5ゲーム差の4位は変わらないが、28日からは3位奪取を目指し、神宮でヤクルト3連戦に挑む。

 点差は関係ない。岩田はちぎれんばかりに腕を振った。8点リードの7回。連打で無死二、三塁のピンチを招く。ここからもうひと踏ん張りだ。6番井上を空振り三振、代打平田は右飛。最後は代打小池を最大の武器スライダーで見逃し三振に仕留め、勢いよくマウンドを駆け降りた。

 真弓阪神が勝負をかけた。先発陣で今季初の中4日登板。チームとしては昨季の10月8日、激しい優勝争いを繰り広げていた巨人戦で安藤が登板して以来だ。自身はプロ4年目で初体験だったが、スクランブルにも動じなかった。「初めてだったんで力まないように」。序盤からスライダーを軸とする普段通りの姿を心がけた。2回には9番打者として右前適時打も放ち、7回を4安打無失点。文句なしの投球で6勝目をあげた。

 20日広島戦(甲子園)を最後にロード戦が続く。遠征前のつかの間の家族だんらんがエネルギー源のひとつだ。今月9日に第2子の長女が誕生。病院を退院後は一緒にお風呂に入り、抱っこをし…、と触れ合いを楽しむ。一方、長男は1歳10カ月。家の外でのボール遊びもできるようになった。同じ左利きの愛息が投げた軟式のボールを受け、優しくコロコロ転がして返球。その一瞬一瞬が癒やしの一時になる。愛息はパパの姿がテレビに映ると「父ちゃん、父ちゃん!」と喜ぶという。全身全霊を仕事につぎ込むパパの姿は、家族の誇りになるはずだ。

 9月22日横浜戦で124球を投げ、この日も119球。それでも疲労を感じさせなかった。ここ2戦は連続でふがいない投球。前回登板後は珍しく、報道陣の質問に言葉が出てこなかった。今度こそ、と必死だった。「目の前の試合を1つ1つきっちりのぞんで行こうと思った。狩野さんのリードのおかげです」。ようやく悔しさが晴れた。

 今や立派な竜キラーだ。これで対中日戦3連勝。その内訳は25回1失点、18イニング連続無失点中と圧巻だ。昨季は5戦で無傷の3勝、防御率2・17。CS第1ステージでも8回1安打無失点と快投した。今季も5戦で2完投(1完封)の3勝1敗、防御率1・69。CS進出争いを勝ち抜けば、竜倒の切り札になるのは間違いない。【佐井陽介】

 [2009年9月28日11時29分

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